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ジェイ・ティー・マネジメント田中事務所の代表、田中です。日比谷のオフィスを拠点に、起業家、経営者に対し、濃密な支援を行っています。いつでもお気軽にコンタクトしてください。              ※詳しい経歴は、カテゴリ(左バー)の「My Profile & 会社概要」をご覧ください。
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2010年10月18日

◆実務家のための戦略とは?・・・もっとシンプルに考えよう




※ビジョンや志なき戦略は決して持続しない。あなたの会社は、そしてあなた自身は、自らの存在意義や本当にやりたいこと、実現したいことを深く真剣に考えたことがあるだろうか。


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 『マツダ 自立の道険しく…フォード、株式売却へ』 10/17(日) 読売新聞

 広島の自動車会社マツダが、90年代に、当時の住友銀行に半ば強制される形で傘下に入ったフォードとの資本関係をさらに薄め、距離を置く方向に傾いているそうです。

同社の、かつてのロータリーエンジンや近年の水素エンジンなど、既存型エンジンを向上させる技術には一定の評価が与えられています。しかし、肝心のEVへの対応が大きく出遅れています。

つまり、強みを生かそうとした場合、基本的に新興国市場への展開しか道は残されておらず、現在の中途半端な事業規模では、再び他の資本との提携を模索せざるを得ないということだと思います。

このことは、結局、価値を創出しての収益確保の力(自力経営力)は、90年代にフォードに買収されたときからあまり向上してないことを意味するのではないでしょうか。

独自性を追求するのは結構なことです。しかし、世の中における自動車の位置付けは明らかに変わりつつあります。こうした流れを敏感に感じ取り、社会に貢献できる価値は(提供するタイミングを含めて)どうあるべきかを本気で考えられる組織体質へと変わらないかぎり、今後もマツダの迷走は続くのではないでしょうか。


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 さて、きょうは、実務家にとっての戦略理論はどうあるべきかを綴ってみたいと思います。

 戦略にはさまざまな定義があります。例えば、資源戦略論で高名なジェイ.B.バーニーは「書かれた本の数だけ戦略の定義が存在する」(※1)と言っています。

いくつか有名なものをピックアップしてみましょう。



◆ジェイ.B.バーニー
 「戦略とは、競争に成功するためにその企業が持つセオリーである」

◆A.チャンドラー
 「戦略とは、企業の基本的な長期目的を決定し、これらの諸目的を遂行するために必要な行動の方向を決定すること、そのために必要な諸資源を割り当てること」

◆マイケル.E.ポーター
 「戦略とは、企業の独自ポジションを決定し、それを伝達すること、トレードオフを作ること、および活動間の調和を図ることである」



人によってずい分と違うようですね(笑)。

しかし、われわれ実務家は、定義の正確さを競ってもあまり意味がありません。それによく見てみると、現在の状態から脱して何かを目指そうとしている、といったニュアンスは、どの定義にも共通しているようです。

...いきなり独断を承知で言ってしまいます。

つまるところ戦略の定義とは、「現状から目指すべき姿や夢に到達するための、自社にとって最も適切な道のり・方法」としておくのが一番わかりやすいのではないでしょうか(図-1)。


●図-1



ただ、世の中そう甘くはありませんよね。上記のようにシンプルに考えるだけですっきりと夢が実現すれば良いのですが、それを邪魔(?)する人たちや、思いもかけない環境の変化が襲いかかります。おまけに顧客(市場)は、浮気症の傾向がますます強くなっています(図-2)。


●図-2


だから、自社を取り巻く環境を合理的にカバーした「フレームワーク(戦略理論)」を通して経営環境をウォッチングしながら、夢の実現を目指していきましょう、ということになるのです。

しかし、ここで注意が必要になります。

理論やフレームワークは道具にすぎません。使いこなすには、「何のために戦略を立てるのか」「目的は何か」がはっきりしていないと、道具自体を使うことが目的化してしまいます。

やはり、あくまでも中心になければならないのは、目指すべき姿=ビジョンに到達する、という強い志(こころざし)であり、そのために最も適切な道のりをどう考えていくか、という視点です。理論やフレームワークを使用するにしても、ビジョンや夢を実現するために活用する、という姿勢を忘れてはならないと思います。

これを言い換えると、多くの競争戦略論が推奨するような、競合他社に勝つことを目的とした分析などは二義的なものであるということです。

仮に競合分析をするにしても、自らを正すために他者の動きにも学ぶ、といった姿勢で取り組まないと、過度なコスト競争や使いもしない機能の追加レース、といった消耗戦に首を突っ込んでいくことになりかねません。

 私なりの結論を申し上げましょう。

まず、しっかりとした目的(夢やビジョン)を持つこと。そして、目的の実現のために、自社がどのような価値を提供できるかを、顧客のビジネスや生活スタイルを体系的に把握し、その中にどっぷりと身を浸すつもりで考えること。

そのうえで、その価値を市場に届けるための最適な道筋・方法を、虚心坦懐な姿勢をもって探求し続ける、といったわかりやすい戦略を持つことが大切です。

結局のところ、資源に制約がある多くの企業にとって、こうしたシンプルな考え方が経営資源の集中を可能にし、骨太な戦略を持つ可能性を高める最も現実的な方法であると思います。



※1:『企業戦略論・上巻』ジェイ.B.バーニー、ダイヤモンド社 2003年



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Posted by ジェイ・ティー・マネジメント田中事務所 at 08:30│Comments(0)使える戦略理論を考える
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