プロフィール
ジェイ・ティー・マネジメント田中事務所
ジェイ・ティー・マネジメント田中事務所
ジェイ・ティー・マネジメント田中事務所の代表、田中です。日比谷のオフィスを拠点に、起業家、経営者に対し、濃密な支援を行っています。いつでもお気軽にコンタクトしてください。              ※詳しい経歴は、カテゴリ(左バー)の「My Profile & 会社概要」をご覧ください。
アクセスカウンタ

2010年09月13日

◆多くの戦略プランニングは「戦略プログラミング」である

 
 


  ※トム・ピーターズが「最高の思想家」と評したH.ミンツバーグ教授。机上の空理空論を徹底して嫌うことでも知られる。大前研一氏や名和高司氏(いずれも元マッキンゼー・ジャパンの責任者)など、実務家の著作に引用されることも少なくない。





◆気になるひとこと◆


---組織を成功に導く戦略は、やはりビジョンであって、けっして計画ではない。これまで実施されてきた戦略プランニングは、実は「戦略プログラミング」と呼ぶべきものである。すなわち、既存の戦略やビジョンを具体的な言葉で表現し、詳細をつめることにすぎないのだ---

                                        ~ヘンリー・ミンツバーグ『H.ミンツバーグ経営論』


◆コメント◆

 反骨の経営学者といわれる、カナダ・マギル大学のヘンリー・ミンツバーグ教授の言葉です。

今まで、多くの人にとって「戦略作り」と考えられてきた作業、すなわち、経営資源や予算を割り振ったり、会計数値や各種の分析数値をつくる(それらを詰め込んだドキュメントを作成する)作業は、実は戦略を作っているのではなく、「プログラミング(=作業)」にすぎない、ということを指摘されています。


 多くの企業は、「戦略計画書」「中期経営計画書」「経営(会計)分析報告書」などといわれるものを(コンサルタントや会計の専門家などの指導を受けながら)多大な時間を割いて作成しています。

もちろん、会計数字をいじったり、計画を作成したりすることの効能が否定されるものではありません。計画書の作り方や会計に関する知識は、組織の内部に必ず持っておくべきです(※1)。

しかし、それらは、決して経営者や事業責任者の目的とはなり得ず、また中心的な仕事でないのも事実です。なぜなら、計画や会計分析は、顧客や市場にとってはどうでもよいことだからであり、“提供する側の活動を最小限のコストで行うための手段”に過ぎないからです。

さらに言ってしまえば、いくら計画づくりの手法や決算書の読み方を学んだとしても、それ自体が、企業の強さや付加価値を生み出すことはありません。これらは、どこまでいっても「作業(プログラミング)」であり、最小限の労力にとどめておくべきものであり、少なくとも日々の事業活動の主要課題にすべきものではないと思います(※2)。

(計画力や会計力を磨いた結果、市場シェアのトップに躍り出た、などという企業は聞いたことありませんよね)


 ミンツバーグ教授やドラッカー氏も強調している通り、経営者や事業マネージャーが「もうこれ以上は思いつかない、出てこない」というくらいにまで必死に考えるべきは、新しい顧客の創造や既存顧客の新たなニーズ開拓の方法であり、それらを継続的に達成していくための戦い方や体制なのです。

すなわち、経営者や事業責任者の最大の責務あるいはミッションは、「真の戦略プランニング」に優先的に時間を割き、知力の限界まで考えを尽くすことなのです。

そして、それらのアイデアが、顧客や市場をほんとうに理解したものであれば、多くの場合、QCD(品質、コスト、物流費など)が最適化され、会計数値(コスト構成や利益率など)のバランスも取れたものとなってきます。

(数字をにらみながら、あれやこれやと戦略の妥当性や製品・サービス体系のプランなどを練っていると、いつの間にか、ある程度の会計のセンスも身についているというわけです)


 憂慮すべきは、真のプランニングが欠落したまま計画力や会計力を磨き続けることです。こうした姿勢は、本末転倒どころか、前述した、提供側の論理に偏重した経営(目先のコストや効率を優先してしまう経営・・・「はやぶさ」など科学技術の事業仕分けがよい例?)を助長してしまう危険性が高くなることは、頭に入れておきたいものです。



***注釈*************************************************************

※1:基本的な会計力が心配、という人は、まず以下の3種類の書籍をそろえて、しっかりと熟読してください。

 ・財務諸表の構造と読み方を詳しく解説したもの
 ・管理会計と財務(経営)分析手法が体系立てて解説されているもの
 ・詳細かつ平易な解説付きの会計・経理用語集

これらを読んだあとは実践です。毎回、常に「会計情報から何を読み取りたいか」「もしかしたら●●は△△となっているのではないか?」といった目的や仮説を、できれば3~5つくらい持つようにします。
(人、モノ、製品・サービス、市場セグメント、組織機能等々、事業構成要素を組み合わせながら、主語と述語で表現するようにします)

 例:「○○市場セグメントの販売効率や付加価値構造の傾向はどうなっているか?」
   「○○事業部の生産性、付加価値創出力は持続的なものになっているか?」
   「ポートフォリオ上で製品が持つ役割(スター、金のなる木など)、は、自分が感じた通りとなっているか?」
   「商品・サービスの売上、粗利率、限界利益率と顧客満足度の相関はどうなっているか?」 
   「同業他社と比較して、わが社の従業員の販売効率や生産性はどうか?」

そして、3冊の本と首っ引きになりながら、会計・数値情報からできるだけ具体的な解釈(できるだけ5W3Hで表現します)を引き出す訓練を繰り返します。これを10ヶ月くらい続ければ、実戦で通用する会計力が身につくでしょう。



※2:中小企業の経営コンサルタントで、ランチェスター戦略の専門家でもある竹田陽一氏は、(中小企業の場合ですが)財務対策に費やす労力は事業活動の7%、会計作業は1%にとどめておくべきと言っています。

パーセンテージの妥当性はともかく、「(一部のトップクラスの企業を除いた)多くの企業は、まず自分たちの戦い方を確立するためにもっとも時間を費やすべき」という竹田氏の主張は、市場リーダーではない多くの企業にとって覚えておくべきことでしょう。

****************************************************************


■ジェイ・ティー・マネジメント田中事務所■
 http://www.jtm-tanaka.com/
 〒105-0003
 東京都港区西新橋1-2-9日比谷セントラルビル14階
 TEL:03-3975-8171  FAX:03-3975-8171

この記事の一部またはすべての無断転載を固くお断りします。
Copyright (C) 2010 Kiyoshi Tanaka All Rights Reserved
◆◆◆



同じカテゴリー(気になるひとこと・フレーズ)の記事
Posted by ジェイ・ティー・マネジメント田中事務所 at 08:30│Comments(0)気になるひとこと・フレーズ
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。