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ジェイ・ティー・マネジメント田中事務所の代表、田中です。日比谷のオフィスを拠点に、起業家、経営者に対し、濃密な支援を行っています。いつでもお気軽にコンタクトしてください。              ※詳しい経歴は、カテゴリ(左バー)の「My Profile & 会社概要」をご覧ください。
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2010年10月25日

◆スモール企業の経営者は最強の顧客コンサルタントを目指せ!




※少なくとも自社の製品・サービスが影響を与える範囲に関しては、顧客の事業や活動が最も生産的になるようなアドバイスができるようになろう.

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「仁川空港に挑戦状」、羽田空港の国際化に韓国でも危機感高まる
 (10月24日サーチナニュース)

 国際的なハブ空港を目指してリニューアルされた羽田空港がオープンしました。近隣となる韓国の仁川空港関係者は、ライバルのこの動きを、危機感を持って見ているようです。ただし、まだまだ仁川空港のハブとしての機能には及びません。

羽田の関係者は、これを単にハブ空港どうしの競争と位置づけて同じ土俵に上がるのではなく、あくまでも利用者や交通各社の利便性の視点に立ち、「トータルなシステム」で戦って欲しいと思います。

すなわち、京急や東京モノレールなどの首都圏の交通機関はもとより、羽田からつながる地方の空港や各種交通機関、観光地などとも連携して、「列島規模の移動・観光システム」としての魅力と経済性で戦うことを目指して欲しいと思うのです。


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 さて、本日のコラムに参りましょう。

 ドラッカー理論における原則の一つに「問題の解決に資源を投入するのではなく、機会にフォーカスして資源を投入し、拡大せよ」というのがあります。

これを経営者やマネージャーの仕事に置き換えると、「日々のオペレーションよりも、機会の拡大に時間(資源)を使え」ということになります。

・・・きわめてまっとうな意見といえるでしょう。しかし、こんな正論をいうと、すぐさま「そんな機会があったら、とうの昔に取り組んでいる!」となどといった声が返ってきそうです。

でもちょっと待ってください。ほぼすべての会社に必ず持っている機会があります。

それは、(当たり前のことですが)自社には製品・サービスという資産がすでにあること、およびそれをすでに購入している顧客があり、彼らと接触・交渉した経験を持っているということです。

中小企業の経営者やベンチャー起業家は、多くの製品系列を持つ大企業の社長と違って、自社の製品・サービスについては誰よりも熟知しているはずです。また、それを購入している顧客についても、深く理解しているか、または少なくとも一定の知識は持っているはずです。

この「すでにある資産」を最大限に活用することを考えます。すなわち専門家である経営者自身が、その導入に関して、最も的確なアドバイスができる顧客コンサルタントへと上位移行するのです。

ただ、コンサルタント、といっても、プロのような能力をカバーする必要はありません。まずは、「自社の製品・サービスを最も効果的、生産的、低リスクの形で使ってもらえる方法」に集中して知識やノウハウを開発していけばよいのです。

そのためには、以下の三つの視点による、新たな知識やノウハウの開発が必要です。


◆1つ目は、顧客の活動や事業プロセスなどを全体的・体系的に見渡し、そこに組み込まれる構成要素として、自社の製品・サービスをとらえ直します。すなわち製品・サービスの再定義を行い、それをもとに新たなポテンシャルを見出していきます。

◆2つ目は、顧客は本質的に何を購入しているかを理解することです。つまり、製品・サービスそれ自体ではなく、そこから得られる効能や効果を購入している、ととらえ直し、新しいPR方法や用途に関する知識・ノウハウの開発余地を見つけます。

◆3つ目は、最終消費の形態や用途、場面(これを消費品質といいます)を詳細に把握することです。これにより顧客のニーズ体系への組み込み方法や、さらに改善を施したスペックを提案できる可能性を探ります。


これら3つの視点に、前述の「効果的、生産的、リスク低減的」という軸を掛け合わせ、「ナレッジ・マトリックス」を作成するなどして体系的かつ網羅的に知識を整理します。これにより、顧客ニーズの詳細な識別が可能になるゆえ、顧客に対するより的確なアドバイスや説得が可能になります。

 こうしたコンサルティング機能の開発により、大きな投資をすることなく、現在の顧客関係を強化できると同時に、新たな顧客セグメントに水平展開することが可能になります。

もちろん、コンサルティング活動で得た情報が、製品・サービスの改良やイノベーションのための重要なヒントにもなることは言うまでもありません。

 ドラッカーが主張するように、「過去を維持するための仕事」が「明日のための取り組み」に優先するようではいけません。ニーズがますます高度化・複雑化する中で、大胆に仕事の配分を組み替え、得意な領域に集中して戦う方法を、これまでにもまして真剣に考えていくべきでしょう。

 「製品・サービスおよび顧客への販売経験」という有効な資産をフルに活用するために、まずは経営者自身が最強の顧客コンサルタントをめざすことを強く推奨したいと思います。



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Posted by ジェイ・ティー・マネジメント田中事務所 at 09:00Comments(0)使える戦略理論を考える

2010年10月18日

◆実務家のための戦略とは?・・・もっとシンプルに考えよう




※ビジョンや志なき戦略は決して持続しない。あなたの会社は、そしてあなた自身は、自らの存在意義や本当にやりたいこと、実現したいことを深く真剣に考えたことがあるだろうか。


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 『マツダ 自立の道険しく…フォード、株式売却へ』 10/17(日) 読売新聞

 広島の自動車会社マツダが、90年代に、当時の住友銀行に半ば強制される形で傘下に入ったフォードとの資本関係をさらに薄め、距離を置く方向に傾いているそうです。

同社の、かつてのロータリーエンジンや近年の水素エンジンなど、既存型エンジンを向上させる技術には一定の評価が与えられています。しかし、肝心のEVへの対応が大きく出遅れています。

つまり、強みを生かそうとした場合、基本的に新興国市場への展開しか道は残されておらず、現在の中途半端な事業規模では、再び他の資本との提携を模索せざるを得ないということだと思います。

このことは、結局、価値を創出しての収益確保の力(自力経営力)は、90年代にフォードに買収されたときからあまり向上してないことを意味するのではないでしょうか。

独自性を追求するのは結構なことです。しかし、世の中における自動車の位置付けは明らかに変わりつつあります。こうした流れを敏感に感じ取り、社会に貢献できる価値は(提供するタイミングを含めて)どうあるべきかを本気で考えられる組織体質へと変わらないかぎり、今後もマツダの迷走は続くのではないでしょうか。


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 さて、きょうは、実務家にとっての戦略理論はどうあるべきかを綴ってみたいと思います。

 戦略にはさまざまな定義があります。例えば、資源戦略論で高名なジェイ.B.バーニーは「書かれた本の数だけ戦略の定義が存在する」(※1)と言っています。

いくつか有名なものをピックアップしてみましょう。



◆ジェイ.B.バーニー
 「戦略とは、競争に成功するためにその企業が持つセオリーである」

◆A.チャンドラー
 「戦略とは、企業の基本的な長期目的を決定し、これらの諸目的を遂行するために必要な行動の方向を決定すること、そのために必要な諸資源を割り当てること」

◆マイケル.E.ポーター
 「戦略とは、企業の独自ポジションを決定し、それを伝達すること、トレードオフを作ること、および活動間の調和を図ることである」



人によってずい分と違うようですね(笑)。

しかし、われわれ実務家は、定義の正確さを競ってもあまり意味がありません。それによく見てみると、現在の状態から脱して何かを目指そうとしている、といったニュアンスは、どの定義にも共通しているようです。

...いきなり独断を承知で言ってしまいます。

つまるところ戦略の定義とは、「現状から目指すべき姿や夢に到達するための、自社にとって最も適切な道のり・方法」としておくのが一番わかりやすいのではないでしょうか(図-1)。


●図-1



ただ、世の中そう甘くはありませんよね。上記のようにシンプルに考えるだけですっきりと夢が実現すれば良いのですが、それを邪魔(?)する人たちや、思いもかけない環境の変化が襲いかかります。おまけに顧客(市場)は、浮気症の傾向がますます強くなっています(図-2)。


●図-2


だから、自社を取り巻く環境を合理的にカバーした「フレームワーク(戦略理論)」を通して経営環境をウォッチングしながら、夢の実現を目指していきましょう、ということになるのです。

しかし、ここで注意が必要になります。

理論やフレームワークは道具にすぎません。使いこなすには、「何のために戦略を立てるのか」「目的は何か」がはっきりしていないと、道具自体を使うことが目的化してしまいます。

やはり、あくまでも中心になければならないのは、目指すべき姿=ビジョンに到達する、という強い志(こころざし)であり、そのために最も適切な道のりをどう考えていくか、という視点です。理論やフレームワークを使用するにしても、ビジョンや夢を実現するために活用する、という姿勢を忘れてはならないと思います。

これを言い換えると、多くの競争戦略論が推奨するような、競合他社に勝つことを目的とした分析などは二義的なものであるということです。

仮に競合分析をするにしても、自らを正すために他者の動きにも学ぶ、といった姿勢で取り組まないと、過度なコスト競争や使いもしない機能の追加レース、といった消耗戦に首を突っ込んでいくことになりかねません。

 私なりの結論を申し上げましょう。

まず、しっかりとした目的(夢やビジョン)を持つこと。そして、目的の実現のために、自社がどのような価値を提供できるかを、顧客のビジネスや生活スタイルを体系的に把握し、その中にどっぷりと身を浸すつもりで考えること。

そのうえで、その価値を市場に届けるための最適な道筋・方法を、虚心坦懐な姿勢をもって探求し続ける、といったわかりやすい戦略を持つことが大切です。

結局のところ、資源に制約がある多くの企業にとって、こうしたシンプルな考え方が経営資源の集中を可能にし、骨太な戦略を持つ可能性を高める最も現実的な方法であると思います。



※1:『企業戦略論・上巻』ジェイ.B.バーニー、ダイヤモンド社 2003年



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2010年10月16日

◆おのみち~出張帰りに散策してきました




※尾道の千光寺公園付近から、尾道水道をはさんで対岸の向島(むかいしま)を望む。向島は、現在放送中のNHK連続テレビ小説「てっぱん」の主人公が育った島で、その父親が営む鉄工所は、手前の緑の木々の向こう側付近にあるという設定になっていると思います。


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『年金7億件照合、前途多難…作業始まる』

---年金記録問題の対策の柱となる、コンピューター上の記録と過去の紙台帳記録との照合作業が12日、始まった---(2010年10月13日読売新聞)


 10月12日から、年金記録問題の対策の柱となる、コンピューター上の記録と過去の紙台帳記録との照合作業が開始されたそうです。しかし、早くも、その成果を疑問視する声があがっています。

民主党には過去、「4年で全件照合」を事実上反古にした“前科”があるし、こうまで実務能力の無さを見せつけられると、懐疑的な声があがるのも当然かもしれません。

ですが、処理業務が中心となるこの種のプロジェクトは、作業の分解と工数見積もり、リソースの配分や日程化など計画化の難易度は高くないのが一般的です。

ゆえに、少なくとも、照合作業の領域を、該当者不明分の調査など計画化が難しい部分から分離して、プロジェクトとしてきちんと設計し、その内容を公開すると同時に、プロジェクトマネジメントの専門家にチェックを受けるなどの改善措置をとるべきではないでしょうか?

民主党には、特に、実務レベルでカッチリと計画を立て物事を着実に遂行する、といった姿勢を強く望みたいと思います。


◆年金7億件照合、前途多難…作業始まる(読売新聞)
  http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20101013-OYT1T00141.htm


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 瀬戸内海に面した某企業の化学コンビナートへの出張の帰り、少し足をのばして尾道を散策してきました。

実は、祖父母が、(冒頭の写真で触れた)対岸の向島に住んでいたので、幼少の頃から、尾道へは何度も来ています。にもかかわらず、いつも街全体の時間がゆっくりと流れているような感じがして、毎回とてもリラックスできます。


※尾道水道をのんびりと航行するフェリー。地元の人たちの通勤、通学の足となっています。
 NHK連続テレビ小説「てっぱん」の主人公や家族が乗船しているシーンも頻繁に見られます。



※尾道商店街にある、廃業したお風呂屋さんを改造した(そのまんま使っている?)大衆食堂。
 こんなお店が他にもいくつかあります。あと、魚のダシがおいしい尾道ラーメンは本当におすすめです。


ちなみにここに載せた風景のいくつかは、現在放送されているNHKの朝の連続テレビ小説「てっぱん」にも出てきます。尾道が舞台のひとつになっているということで、数十年ぶりにこの時間枠のドラマを見ていますが、これが意外(?)におもしろいんですよね。

話のテンポがいいし、主人公の女の子の元気と明るさ、実直さがとてもいい。それに、一話が15分なので負担にもなりません。

でも、よく考えると、ここ十数年はニュースと映画を見るくらいで、あとはほとんどテレビを見ないので、単にこの種のドラマに免疫がないだけなのかも知れませんね。


※かなり古そうですが、何のお地蔵様なんでしょう?地下水をくみ上げるポンプも
 相当に年季が入っているようですが、いまだに現役とのことです。


※尾道の駅前商店街近くの路地裏。昭和の匂いが色濃く残る風景があちこちに見られます。
 尾道出身の映画監督、大林宣彦さんは、こうした風景を「地域に刻まれたシワ」だとして、
 大切にしていくべきだとおっしゃられています。


※右のカゴは、人気商品(らしい)はっさくゼリー。向島から数えてひとつ沖合にある因島は
 八朔(はっさく)発祥の地といわれています。他にも国産レモン発祥の地である生口島があるなど、
 瀬戸大橋の尾道-今治ルートに連なる芸予諸島は、柑橘類の一大産地としても知られています。


※少し汗ばむほどの陽気で、本当にいい天気でした。
 尾道水道の突堤(「てっぱん」の主人公が海に飛び込んだ場所)から尾道大橋方面を望む。



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2010年10月12日

◆割れ窓理論を考える-2「一人で始めたゴミ拾い、260人に」




※適切なビジョンと情熱、粘り強い継続の姿勢に、正しい技術を加味すれば、「割れ窓理論」は企業組織においても応用が可能である.

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 一昨日、以下のような記事が配信されてきました。つい数日前にこうしたムーブメントの有効性を説いたコラム「割れ窓理論と日本電産・永守会長」を書いたばかりだったので、嬉しくなって思わず取り上げてしまいました。

(前回予告した戦略立案方法に関するコラムは次回以降とさせていただきます。熱心なご意見をいただいた皆さん、ゴメンナサイ)



『美化活動 輪広がる 旧江戸川護岸、1人で始めたごみ拾い 協力者260人に/千葉』
【毎日新聞 10月10日(日)】
 
 口コミで協力者260人に。21日に堤防の落書き消し--浦安南高生徒らも参加

 たった1人の強い意志が周囲を動かし、状況を大きく変えつつある。「ごみだらけで風景画が描けない」。そんな子供たちの声を聞き、4年ほど前、市内に住む男性が浦安市の旧江戸川護岸で、1人黙々とごみを拾い始めた。美化活動の輪は広がり、21日には市内の県立浦安南高(山中克男校長)の生徒たち20人を含む市民が、東京湾岸の堤防の落書きを消す作業に取り組む。【山縣章子】

※詳細記事: 毎日新聞社
   http://mainichi.jp/area/chiba/news/20101010ddlk12040131000c.html

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 さて、コメントに参りたいと思います。

 こうした取り組みを企業に展開するための方法について考えてみましょう。

 この事例も、過日のコラム「割れ窓理論と日本電産・永守会長」で説明したのと同じく、ひとりの強い意志と行動が強力なメッセージとなり、周囲の人たちの共鳴・共振へとつながっていった「割れ窓理論」の典型的な事例と言えるでしょう。

このごみ拾い活動は、4年の歳月を経て大きなムーブメントになっていったそうです。長期にわたって地道な活動を続けられた姿勢は、本当に素晴らしいと思います。ですが、これを企業が導入する場合、3~4年もかけてじっくりとやるのはなかなか難しい、というのが正直なところでしょう。

こうした取り組みの導入を検討する企業の多くは、その時点で、何らかの危機的な状況に陥っています。よって、手遅れになったり、途中で挫折したりしないように、波及効果の生産性・効率性を高める施策を意識的に打ち込んでいく必要があります。

ただ、その前に、絶対条件として確認しておきたいのが、記事の事例と同様、中心となる人の思いや信念の重要性です。

割れ窓理論の本質は「人の心」を動かすところにあります。人から人へと、強固な意志や、本物だけが持つ感動が伝播することによってのみ、中身の伴ったムーブメントが形成されます。つまり、強い思いを抱いた人のエネルギーが常に活動の中心に存在し、周囲にそれを供給し続けることが生命線となります。

それゆえ、中心人物の「気持ちと行動で周囲を引っ張る」という姿勢を活動のエンジンとして位置づけ、それを継続できる環境を必ず確保する必要があります。

この形が十分に担保されたうえであれば、さまざまな施策を打ち込んで、その生産性や効率性を上げることが可能となります。それらをうまく組み合わせたり、タイミングよく打ち込んでいくことにより、企業組織においても、その本質を損なうことなく、生産性・効率性の向上をめざすことができるのです。

以下はその施策の例です。



[割れ窓理論によるムーブメントの生産性・効率性を向上させる施策:例]

◆思いや信念を“布教”できるコアとなるメンバーのネットワークを形成する
 →定期的に忌憚のない議論やアイデアの創出を行う場を設け、思いや信念を維持・強化しながら進む。

◆思いや信念をわかりやすい形で可視化(文書化、物語化など)する
 →言葉の綺麗さよりも内容を重視する。必要に応じて書き換えても良い。ブログなどで情報を発信することも有効。

◆達成度を測定・共有し、そこから更に刺激を得られるようにする
 →成果を共有し、メンバーにパワーと元気を注入する。

◆理論、手段、具体的なツールなどで“武装”させる
 →開始前に、活動の意義や論理的な裏付けに関する研修や勉強会を行う。

◆新たな評価項目やインセンティブを少しだけ活動向けに整備する
 →評価・報酬目的の「ニセモノ」が現れるので、過剰な報酬や評価の改訂は必要ない。

◆批判や妨害に対しては、断固たる姿勢で臨む
 →必ず天の邪鬼(あまのじゃく)的に、ネガティブに捉える者が出てくる。これを放置ぜず、断固たる姿勢で対処する。



以上のような準備が整い、活動計画に落とし込んだら、あとはPDCAサイクルを回しながら、ひたすら前進あるのみです。

なお、全体的なポイントとしては、あまりガチガチのルールを作らず、自主的に取り組もうとする人の意志をできるだけ尊重する体制を維持することです。過剰なルールや細かい指示・命令は、それに依存する傾向が出てくるのと、結果的にあまり熱心でない人に基準を合わせる「護送船団方式」になってしまうので注意が必要です。



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Posted by ジェイ・ティー・マネジメント田中事務所 at 08:30Comments(0)戦略請負人のつれづれ日記

2010年10月07日

◆競争は戦略の目的ではない 【大前研一】




 ※日本企業の試練と真の国際化への厳しい道のりはこれから始まる。戦後65年のツケを払わされる時がやってきた。


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 先日、中国の温国家主席と菅総理の会談が行われたそうですが、菅さんははいったいどのような話をしたのでしょうか?“戦略的互恵関係”などといっていますが、そもそも日本の戦略とはどのようなものなのか、その上位概念としての国家ビジョンはどのようなものなのでしょうか?

現在の政権からは、それらが伝わってきません。むしろ、目の前で起きた問題に対し、短絡的に反応する行動様式だけが目立つ、戦略の意味がまるでわかっていない「戦略シロウト内閣」といわざるを得ません。

参照:『日中「廊下会談」協調演出に残る危うさ』(10/5日経電子版)


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◆気になるひとこと


      --- 競争は戦略の目的ではない ---


                   大前研一 『ハーバード・ビジネス・レビュー 2007年(1987年の論文を再録)』



◆コメント

 当時、どんどん現実離れしていく感があった競争戦略理論に対する大前研一さんらしいアンチテーゼです。

この言葉自体は1987年のものですが、戦略のエキスパートであるマッキンゼー社が、2003年に再びこの大前論文を世に問うているうえに、大前さん自身が、現在も同様の指摘をされているので、今回、この言葉を取り上げてみました。

さらに、以下の指摘が続きます。

「ライバルに勝つことに血眼になると、戦略は相手の出方次第でクルクル変わることになる。リードを許すまいと、相手の一挙手一投足に反応する行動様式が常態化していく」

・・・なるほど、ちょっと変わった機能を持った製品が出ると、すぐにそれに追従した製品でヤマダ電機の売り場がいっぱいになってしまう、といった現象を、われわれはイヤというほど見てきてましたよね。

エアコン、デジカメ、携帯電話、洗濯機、電子レンジ。消費者は誰も「使った場合の違い」を説明できません。クルマやコンビニ、銀行のサービス、最近流行の地域開発(町おこし)のパターンも独自性があるとは思えません。

ちなみに、この「使った場合の違い」を、サムスン電子の元常務で、現東京大学特任研究員の吉川良三氏は「消費品質」と表現されています。

吉川さんは、8月に行われた『日本がものづくりで韓国に負ける理由』というテーマの講演で、日本企業はこの消費品質がわかっていない、と指摘されていますが、要は「消費者のことをきちんと見ていない」という最も基本的なことを、此の期に及んで指摘されているということです。

吉川さんの言葉を待つまでもなく、われわれ生活者は、実にさまざまな不便を強いられてきたと思います。

たとえば自動車です。一車種ごとに莫大な開発費と数百人ものエンジニアを張り付けて“丁寧に”開発を行い、4年に一度、消費者に買い替えを強要してきました。また、いまだにコーナリング性能や動力伝達システムがどうのこうのと、カタログ数値をPRしている会社があるようですが、購入者の多数を占めるサンデードライバーや街で買い物をする主婦にとってそんなものは関係ありません。

さらには、一挙に電気自動車への切り替えを行わずに、ハイブリッドという、暫定的なクルマを前面に押し出していますが、このやり方の背後に、自社や業界の維持・雇用といった、提供者側の都合がまったくないとは言えないのではないでしょうか?

パソコンメーカーも同様です。つい3~4年前までは「家庭の医学」とか「毛筆ソフト」など、使いもしないソフトをゴテゴテと詰め込み、20数万円にも価格を吊り上げたラップトップをユーザーに押しつけていたのです。しかも、突如、5万円台のネットブックが登場すると、一斉に追随して、挙句の果てに「利益が出なくなった」などと文句を言っている始末です。

 このような指摘をすると、「60~80年代の日本企業は素晴らしかった。国際的にも勝利してきた」という主張をされる人がいます。しかし、戦後、基本部分のアイデアは欧米からすべてタダでもらったうえに、「作れば売れる時代」がぴったりと重なっていたのは紛れもない事実です。轍(わだち)を辿っていき、改善を続けるだけで商売ができた時代が確かにあったのです。

それに、日本企業の場合、「国際化した」といっても、生産工場や販売網などの物理的な拠点が拡大したに過ぎません。

先ごろ、ハイブリッド車のトラブルに関する情報公開のやり方で問題となった自動車会社の例をひくまでもなく、彼の地の文化や風習をうやまい、現地に溶け込み、組織カルチャが真に国際化している企業、「国籍に関係なく、誰でも社長までのイスが等距離にある企業」は今でもほとんどありません。

 生活者にとっての価値を謙虚に見つめることなく業界内の競争に腐心し、提供者側の論理で事業を行ってきた日本企業は、ITの進展による地球市場の一体化や、アジアの新興国企業の勃興を受けて、戦後65年経って、はじめて「真の競争」にさらされることになるでしょう。

それは、これまでのような目先の競争ではなく、価値創造者としての実力と世界への貢献の姿勢をもって、自らの存在意義を賭けて戦っていかねばならない、ということだと思います。

大前さんのひとことを、いま、改めて深く考えなければなりません。



※参照:
  『競争は戦略の目的ではない』 大前研一、ハーバード・ビジネス・レビュー、2007年

  『日本がものづくりで韓国に負ける理由』吉川良三、グロービス講演録、2010年8月5日

  『マッキンゼー 戦略の進化』マッキンゼー、2003年(上記大前論文を収録)




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2010年10月02日

◆割れ窓理論と日本電産永守会長~戦略具現化手法の可能性は?




※答えは足もとにある?ニューヨーク市の地下鉄犯罪・落書きの撲滅や、破たん寸前の企業の救済に劇的な効果を発揮したとされる割れ窓理論.


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 大阪地検前特捜部長らが逮捕されました(2010/10/2日経新聞)。大阪特捜部の組織ぐるみの証拠改ざん隠ぺい工作が疑われているようですね。本日のテーマは、こうした集団による犯罪行為に手を染めていく心理構造や悪循環に陥ってしまった組織を救済するための一つの考え方を提示している「割れ窓理論」です。

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さて、本題に入りましょう。

 割れ窓(ブロークン・ウインドウズ)理論という、都市環境改善のための考え方があります。

成功例に、ニューヨーク市の、地下鉄などの都市環境や犯罪率の劇的な改善例があることが知られています。その主な成果は、1990年を頂点として、同市における殺人事件が3分の2減少し、重罪事件は50%減、そのうち地下鉄での重罪事件の発生は75%も少なくなったというものです。

日本にも同様の事例があります。

2001年に北海道警の札幌中央署が、同じく割れ窓理論を採用し、「すすきの環境浄化総合対策」として犯罪対策を行いました。駐車違反を徹底的に取り締まる事で路上駐車が対策前に比べて3分の1以下に減少、2年間で犯罪を15%減少させることができた、という報告がなされています。

このような効力を持つ割れ窓理論アプローチですが、その内容は実にシンプルです。

たとえば、落書きや違法チラシなどの軽微な犯罪を徹底的に取り締る、といったアナログ的な対応を、とにかく粘り強く続けます。落書きが書かれてもすぐに消すことをひたすら繰り返し、軽微な犯罪にも妥協せず、それらが起こらなくなるまで断固とした姿勢で取り締まりを続けるのです。

このメカニズムを考えてみましょう。

落書きしたり犯罪を引き起こしてしまう人たちの多くは、生まれつきそのような資質を持っているというよりは、むしろ、周囲の環境に感化されて事におよんでしまう傾向が強いといいます。

これは、目に見える環境の悪さや規律のゆるさが「自分も同様のことをしてもよい」という暗黙のメッセージとなり人々の潜在意識に植え付けられ、集団への帰属意識や環境への適応本能と相まって、人々の悪しき行動を誘引する、という構造を持ってしまうと考えられています。

これを変えるためには、抽象論や精神論などではなく、同様のレベル、すなわち「具体的なかたちで、継続的に、断固とした意志を示す方法で“応戦”する」という方法が効果的とされており、前述の事例は、まさにこれを正面から実践した、ということになります。

 会社再建の名人で知られる、日本電産(※1)の永守会長も、同様の考えかたを実践して成果をあげています。

永守氏いわく、

「やることは二つしかない。一つは6S(整理・整頓・清潔・清掃・しつけ・作法)。職場をキレイにさせること。もう一つは出勤率。休まずに会社に来させること。これらを徹底してやらせることにより、会社は必ず改善する」

事実、このやり方を適用したコパル社(現日本電産コパル)やトーソク社(現日本電産トーソク)は、それまでの長期低迷がウソのように黒字化しています。両社は十数年ぶりに過去最高益を更新するなど、見事な再生を果たしているのです。

もちろん行動を律するだけでは業績の向上は望めません。しかし、一方で、いくら立派なビジョンや戦略を示しても、それを実行するための足まわりが伴わないかぎり「絵にかいたモチ」で終わってしまう可能性が高いことも事実なのです。

つまり永守会長は、戦略や利益計画を具現化するための足まわり(意識改革と行動)を徹底して再構築した、ということだと思います。
 
 ちなみに、「6S」や「行動を律する」というと、「なんだそんなことか」とナメてかかる人がいます。しかし、その習慣が、たとえば時間の使い方や顧客の情報の整理・整頓につながり、ひいては、業務全体の大きな改善へと波及してくることも忘れてはなりません。

 こうした類の手法は、最後までやり抜く覚悟さえあれば、ほぼ確実に一定の成果を得ることができるのです。少なくとも、戦略や経営計画の足まわり(具現化能力)を強化してくれるくらいの成果が得られることは覚えておきたいものです。




※1:弊社アドバイザー・協力者の京都大学経営管理大学院、末松千尋教授は、2010年6月より、日本電産の監査役を務められています。



※参照文献・情報:
   『壊れ窓理論の経営学』 マイケル・レヴィン 光文社 2006年
   『日経ビジネス 逆境を乗り越える経営』日経BP  2008年
    その他独自ルートによる情報、資料を分析


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Posted by ジェイ・ティー・マネジメント田中事務所 at 13:02Comments(0)戦略請負人のつれづれ日記