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ジェイ・ティー・マネジメント田中事務所の代表、田中です。日比谷のオフィスを拠点に、起業家、経営者に対し、濃密な支援を行っています。いつでもお気軽にコンタクトしてください。              ※詳しい経歴は、カテゴリ(左バー)の「My Profile & 会社概要」をご覧ください。
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2010年09月28日

◆ドラッカー~その波瀾万丈の生きざまを知って欲しい




※第二次大戦前夜、ドラッカーは、台頭著しいナチスへの取材を敢行し、アドルフ・ヒトラーやヨーゼフ・ゲッペルスらに何度も単独インタビューを行っている。「ヒトラーの思想は危険だ」と警告を繰り返すが、彼の意見に耳を傾ける人は僅かであったという。


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 きょう、武富士が会社更生法の適用を受けるとのニュースが飛び込んできました。

同社に対しては賛否両論があると思います。しかし、銀行などと違って行政の保護も何もない中で、回収率の算定方法や迅速な審査プロセスなど、小口融資に関して驚くようなノウハウを独自で築き上げ、多くの人たちの窮地を救ってきたのも事実です。

今後、再建を目指すのであれば、今まで培ったケイパビリティと逞しさを、より健全に、社会に貢献する形で生かしていって欲しいと思います。

 (参考: 日経WEB版9/27【武富士、会社更生法の適用きょう正式に申請】)


*******

 さて、本題に入りましょう。

 中小企業の経営者やベンチャー起業家など、チャレンジャーとしての人生を送ることを選択した方々に、ドラッカーの理論や哲学とともにぜひとも知っておいていただきたいのは彼の「生きざま」です。

実は、私は、中小企業やベンチャー企業支援のための団体を支援しているので、これらの経営者の方々と交流する機会が多くあります。

特に必要なことだと思われるので、生意気を承知であえて言いますが、こうした経営者の方々には、(孤独な戦いを強いられているがゆえに)ご自分の価値観にとらわれすぎていたり、偏った経験則に依存して苦しんでいたりする方が、少なからずいらっしゃるように思います。

しかし、新たな発見や構想、具体的なビジネスチャンスへの道を切り開くためには、自分の枠組み(=価値観や事業領域、付き合いの範囲などさまざまな境界線)を超えて動き、ものを見聞きし、考えなければなりません。

このためにヒントになるのが、ドラッカーの波瀾万丈の生きざまです。


 ここで、彼の経歴に簡単に触れておきましょう。

◆ピーター.F.ドラッカーは、1909年にオーストリアのウイーンに生まれます。高校卒業と同時にドイツに移住。商社マンや証券アナリスト、新聞記者などの仕事をこなしながら、フランクフルト大学に通って(仕事の合間に図書館で猛勉強しながら)博士号を取得。

◆記者時代には、ヒトラーやナチスに何度もインタビューを行います。しかし、彼らの思想に反する記事を書いて目をつけられ、ナチス党員にアパートに踏み込まれる前に荷物をまとめてドイツを脱出(!)。

◆新天地アメリカにおいては、TQCの元祖エドワード・デミング、GMの創業者アルフレッド・スローン、IBMの創業者トーマス・ワトソン、イギリスのチャーチル首相、黎明期のマッキンゼーの指導者マービン・バウワーなど、さまざまな人々と交流を持ちます。

◆1943年頃から、新しい社会機関としての可能性を感じたアメリカの大企業(GMやIBM、GEなど)のコンサルタントを努めるようになり、再びヨーロッパやアジアへの遠征も開始します。そして、後に金字塔と評されることになる「現代の経営」(1954年)や大著「マネジメント」(1973年)などを世に送り出していきます。

◆新しい社会機関としての可能性を感じたアメリカの大企業GMやIBMのコンサルタントを努めるようになり、再びヨーロッパやアジアへの遠征を開始します。そして、後に金字塔と評されることになる「現代の経営」や大著「マネジメント」などを世に送り出していきます。


 今よりははるかに国境や言語の壁が高かった時代に、ドラッカーはこれをものともせず、新しい活動の場を求めてヨーロッパやアメリカを駆け巡りました。

すなわち、常に現場に己の身を投じ、見聞を積み重ねながら、先行研究や文献などがまったく存在しなかったゼロの状態から、マネジメントの体系的理論や社会思想の新たな視点を打ち立てていったのです。

(※本ばかり読んで多少の違いを付け加えることで「新説」としているような多くの学者・研究者の著作とは、その背景も言葉の重みもまったく異なるのです)


以上の経歴からもわかるように、ドラッカーは、まさに実践・行動の人として、あらゆる障壁を乗り越えて動き、自らの可能性を切り拓いていきました。そしてこの姿勢は、ますます不透明さを増す経営環境を生き抜く術として、中小企業の経営者やベンチャー起業家に最も求められるものだと思うのです。

 こうした彼の「生きざま」を知ったうえで、その考え方や哲学に触れていただけるのであれば、ドラッカー理論を日々考え、実践しようとしている者として、これ以上の喜びはありません。



※参照文献・情報ソース:
 『ドラッカー わが軌跡』(『傍観者の時代』の新訳)
 『知の巨人 ドラッカー自伝』
 『わがドラッカー流経営論』(NHK知る楽テキスト、柳井正)
 ドラッカー学会資料および学会要人への、ありし日のドラッカー教授についてのインタビューなど。

※ドラッカー学会WEBサイト
  http://www.drucker-ws.org/


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2010年09月24日

◆戦略実務の素人に人気?ポーター理論の問題点を考える-2




※競争戦略論の発表直後に自らのコンサルティング会社を興し、巨万の富を築いたハーバード大学ビジネススクールの"スーパースター"、マイケル・E・ポーター教授。しかし、シカゴトリビューン紙記者のオシーア、マディガンの著書『ザ・コンサルティングファーム』によると、その成果には大きな疑問が残る、といった旨の報告がなされている。


                     ●            ●            ●


 1980年前後の発表ながら、いまでも非常に人気の高い戦略理論、それがマイケル・ポーターの「競争の戦略」「競争優位の戦略」です。以下、これらの理論に潜在する問題点を、特に実務者の観点から指摘していきたいと思います。

ポーターの戦略理論は、大きく、以下の3つの問題点を抱えていると考えられます。

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①時間軸やそれに伴う諸条件の変化(ダイナミズム)という概念が考慮されていない。

→ ポーター理論の根底には、「相対的に優位なポジションをどう見つけ、自らの事業をそこにどうやって位置付けるかですべてか決まる」という考え方がある。ゆえに、自社の位置付けがわかる業界構造(地図)が明確に特定できること、さらには戦略を成就させるために、一定期間、その業界構造が続くことが前提となっているが、これは現実的にはあり得ない。

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②企業間連携や合従連衡、そして企業優位性のソフト化が進展した昨今の近代経営においては、「5フォース」「バリューチェーン」といった単純なフレームワークで分析することは困難であるばかりか、リスクさえ伴う。

→ 現代の事業環境は、提携や共同開発、ライセンス契約などが複雑に絡んでおり、例えば「競合」や「供給業者」、果ては「顧客」までもが簡単には特定できない。例えば、競合が、ある事業領域においては技術やパテントの供給元となったり、B2Bなどでは顧客が自社の得意分野に一部参入したりするのは珍しいことではなくなってきている。

→ インタンジブル(ソフト)な競争優位性をバリューチェーンなどの可視化手法で特定するのは容易ではない。また、競合相手ごとに優位性が異なるゆえ、バリューチェーンによる普遍的な優位性を断定するのは困難である。

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③自社事業に関連する周囲の関係者を敵対関係あるいは優位性を行使する対象とみなし、スイッチングコストやロックインといった考え方で対峙していく考え方は問題がある。顧客との価値共創、企業間連携やネットワーク化といった「ともに価値を創り上げる姿勢」が重要な戦略手法となっている現代においては、むしろマイナスに働きかねない理論である。

→ 「周囲の存在すべてを競争または駆け引きの相手」とみなし、全社で活動をはじめると、過度なコスト削減の強要や顧客ロックインなど近視眼的な行動が多発する可能性が高くなる。

→ 「分析結果が正しくすべてである」という中央集権的な経営が行われてしまうと、チャレンジ精神や創意工夫は影をひそめ、石橋をたたいて渡るような行動が蔓延し始める。当然のことながら、現場の臨機応変な判断力なども衰えてくる。



 一般的に、ポーター理論に対しては、①、②が批判の対象となるようです。しかし、経営者や実務者は、むしろ③で想定されるような悪しき行動スタイルがガン細胞のように組織をむしばむことの方に危険を感じると思います。ひとたびこうした体質が浸透すると、組織の考える力が低下し、何事にも消極的になってしまう。また、これを改善するには数年のリハビリ期間が必要になってしまいます。

にもかかわらず、このあたりに想像が及んでいないポーター理論は、(特に21世紀のソフト化社会においては)まさに「机上の理論」であると言わざるを得ません。

 最後に、なぜポーター理論が(経営学の世界における)戦略理論の最高峰とされてきたのか、なぜ多くの人たちから支持を得ることができたのかについても簡単に触れておきたいと思います。

いくつか要因がありますが、顕著な理由として、理論全般にわたって分析技法がマニュアル的に記述されており、なおかつフレームワークなどが視覚的にわかりやすいという点がまずあげられます。

言い換えると、豊富な実務経験からくる洞察や想像力を要求する内容ではないゆえ、戦略レベルの意思決定に関与したことがない人たち、すなわち学者や学生、若手サラリーマンなどを「わかったつもり」にさせやすいという面があるのです(※1)


 企業が存続するための方法は、決して競争に勝つことだけではありません。競争は(できるかぎり回避すべき)一手段に過ぎず、決して目的とはなりません。むしろ、長期にわたり存続してきた企業は、不必要な争いは避け、社会という生態系への融和を必死に模索することで発展・成長してきたのです。

しかし、周囲のすべてを駆け引きの相手とみなし、圧力を行使することで優位性を保とうとするポーターの思想は、これを否定するものと考えざるを得ません。現代のネットワーク社会や共生社会、ソフト化社会においては、むしろ「時代への逆行を誘引する考え方」であると言わざるを得ないのです。

 われわれ実務者は、このようなあまり現実的ではない理論にとらわれることなく、あくまでも、価値を創造することで社会や顧客に貢献していく、といった姿勢を第一義に持たなければなりません。

すなわち、社会・顧客への貢献を実現できる製品・サービスづくりや体制づくりを目指す文脈において、市場や顧客、同業他社、取引業者などの考え方や動向に謙虚に学ぶことで自らを磨きあげる(=結果として市場優位性を築き上げる)といった道のりを歩んでいくべきなのです。



***
※1: 三菱総研主席研究員の武藤泰明氏は、ポーター理論は「コピー&ペイスト」しやすく、それゆえ「戦略実務の素人に人気を得やすい理論」としています。また、昨年12月に『ドラッカー生誕100周年記念講演会』で私と講演の機会をともにしたローランドベルガー会長・早稲田大学院の教授、遠藤功氏は、同講演の中で「ポーター理論からは、本当の経営も戦略も学べない」と述べられています。


※情報ソース:
 本コラムの論理展開の根拠となる情報のかなりの部分が、私のコンサルティング業界の人脈を通じて得た、ポーター理論を試したり導入コンサルティングを受けたりした企業の実例に依拠しています。


※主な参照文献:

◇Porter, M.E., Competitive Strategy, The Free Press, 1980
   (マイケル・E・ポーター、土岐坤・服部照夫・中辻万治訳『競争の戦略』、ダイヤモンド社、1980 年)
◇Porter, M. E., Competitive Advantage, The Free Press, 1985.
   (マイケル・E・ポーター、土岐坤訳『競争優位の戦略』、ダイヤモンド社、1985 年)
◇Kenichi Ohmae, The Mind Of The Strategist: The Art of Japanese Business, McGraw-Hill, 1991
   (大前研一『ストラテジック・マインド』プレジデント社、1984年)
◇James O'Shea, Charles Madigan, Dangerous Company: The Consulting Powerhouses and the Businesses They Save and Ruin
   (オシーア、マディガン 『ザ・コンサルティングファーム―企業との危険な関係 』1998年、日経BP)

◇大前研一 『競争は戦略の目的ではない』ダイヤモンド社ハーバードビジネスレビュー、2007年2月号
◇ヘンリー・ミンツバーグ 『H.ミンツバーグ経営論』ダイヤモンド社、2007年
◇武藤泰明 『ほんとうにわかる経営戦略』PHP出版、2003年
◇御立尚資 『戦略「脳」を鍛える』東洋経済新報社、2003年



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2010年09月18日

◆戦略は号令だけでは実現しない。組織を一体化せよ【三枝匡】



                    ※上から下までが一体となった推進体制を同時に作るのが、
                      実務における戦略や改革の必須成功条件である...



◆気になるひとこと◆

---「頑張れ」の号令だけでは戦略は実体化しない。「武器」や「道具」を作り、組織の各レベルをつながなければならない---

                              ~三枝 匡 『V字回復の経営~2年で会社を変えられますか』



◆コメント◆

 かつて、ボストン・コンサルティング・グループの経営コンサルタント、事業再生プロフェッショナルとして名をはせた、現ミスミ会長の三枝匡(さえぐさただし)氏の言葉です。

戦略の具現化を生業とする私自身の経験に照らし合わせてみても、これは必須事項であると断言できます。

この類の戦略の失敗は、派手さに欠けるため、あまり表面化しません。しかし、実は、新戦略や組織改革の実現に失敗して破たんに至った会社をよく調べてみると、やはり上層部が、単に戦略を発布するにとどまり、「あとは、各部門・部署で“自主的に”で推進しなさい」といった姿勢に終始した結果、尻すぼみになって失敗に至ってしまったケースが少なくないのです。

 このような丸投げの姿勢は、大きく2つの問題を抱えてしまいます。

まず、モニタリングが徹底されなくなります。何故ならば、「今までやったことのない取り組み」に対して、改革前の(経験値や記憶に依存した)習慣やシステムを通して活動の進捗や成果をウォッチングすることになってしまう。

ゆえに、モニタリングの質や頻度、改善点に対する指導力が次第に弱くなり、最後は、なあなあになってしまうのです。


次に、「戦略の進化」がなされないという問題が出てきます。現代のタービュラントな経営環境下においては、「戦略は変化・進化するもの」という前提で、常に戦略に修正をかけ、戦略自体のイノベーションをはかりながらダイナミックに推進していかなければなりません。

そのためには、トップから戦略本部、ミドル、現場の末端まで、各層がそれぞれの役割を的確に遂行しているか、適切な結果は得られているかを測定するための、新しい戦略思想に基づいて最適化された、統一的な情報共有のしくみや評価システムが不可欠です。

たとえば、第一線で働く営業スタッフなどにも、新しい戦略思想が細部にまで反映された最新鋭のツール(新しい営業活動モデル、顧客診断ツール、顧客経済メリットの算定シート、再設計された営業日報・訪問管理表など)を付与し、あわせて徹底したトレーニングを行う、といったところまでこだわらなければなりません。


 経営学や戦略論においては、当初戦略の策定手法や分析フレームワークなどに関心が集まりがちです。しかし実務の世界においては、むしろシンプルかつ的を射た戦略を策定したうえで、ミドルから現場の日々の活動までをしっかりと管理し、いかに戦略を進化させながら(事業活動を高度化させながら)前進できるかが勝負の分かれ目となるのです。


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2010年09月16日

◆マネジメント&ドラッカー理論の専門家として取材を受けました




※東京ドームホテルで取材を受ける私。右は産業専門紙、経済誌記者などを経て、雑誌・新聞・書籍などで幅広くご活躍されているジャーナリストの川上清市さん。当日は35度を超える猛暑だったうえに、仕事の合間をぬってドタバタと駆けつけたので、インタビューの最後の方まで体の火照りが収まりませんでした。


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 少し前の話になりますが、8月26日に、20万部以上の発行部数を誇る、あんしん財団のビジネス・生活情報誌「あんしんライフ」さんから、マネジメントとドラッカー理論の専門家ということで取材を受けました。

当日はジャーナリストの川上清市さん、編集ご担当の大場隆広さんのお二人から、ドラッカーと中小企業の接点や私自身のドラッカーへの関わり方、ドラッカー学会(※)委員としての活動などについて、率直かつ鋭い質問をたくさん投げかけていただきました。

 先方の主な取材意図は、「中小企業の経営者の方々に、ドラッカーの良さや具体的なメリットを紹介したい」というもの。私もかねてから色々なところで、


■「ドラッカーのマネジメント理論は、中小企業の経営者が学びやすい、最も良質な理論体系の一つ」

■「明日からでも実践できるのがシンプルに体系化されたドラッカー理論の良さ。取り組みやすさという観点から考えると、しがらみや調整が多くなる大企業よりも、むしろ小回りがきくスモールビジネスに向いている理論とも言える」

■「経営コンサルタントとしてだけではなく、自らが代表取締役として陣頭指揮を執った企業再生のケースにおいても、ドラッカーにはずい分と助けられた経緯がある」


といったようなことを喋っていたので、今回もこの視点に立って、あますところなく自分の考えをお伝えさせていただきました。

 このところ、取材やインタビューを受ける機会が多くなっているのですが、今回は特に話が盛り上がったうえに、12月号に3ページにわたって掲載される記事になるそうなので、雑誌の刊行が、今からとても楽しみです。



ドラッカー学会(上田惇生代表)は、ピーター・ドラッカー教授およびドリス・ドラッカー夫人から公認されている、日本における唯一の正式な研究団体です。


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2010年09月13日

◆多くの戦略プランニングは「戦略プログラミング」である

 
 


  ※トム・ピーターズが「最高の思想家」と評したH.ミンツバーグ教授。机上の空理空論を徹底して嫌うことでも知られる。大前研一氏や名和高司氏(いずれも元マッキンゼー・ジャパンの責任者)など、実務家の著作に引用されることも少なくない。





◆気になるひとこと◆


---組織を成功に導く戦略は、やはりビジョンであって、けっして計画ではない。これまで実施されてきた戦略プランニングは、実は「戦略プログラミング」と呼ぶべきものである。すなわち、既存の戦略やビジョンを具体的な言葉で表現し、詳細をつめることにすぎないのだ---

                                        ~ヘンリー・ミンツバーグ『H.ミンツバーグ経営論』


◆コメント◆

 反骨の経営学者といわれる、カナダ・マギル大学のヘンリー・ミンツバーグ教授の言葉です。

今まで、多くの人にとって「戦略作り」と考えられてきた作業、すなわち、経営資源や予算を割り振ったり、会計数値や各種の分析数値をつくる(それらを詰め込んだドキュメントを作成する)作業は、実は戦略を作っているのではなく、「プログラミング(=作業)」にすぎない、ということを指摘されています。


 多くの企業は、「戦略計画書」「中期経営計画書」「経営(会計)分析報告書」などといわれるものを(コンサルタントや会計の専門家などの指導を受けながら)多大な時間を割いて作成しています。

もちろん、会計数字をいじったり、計画を作成したりすることの効能が否定されるものではありません。計画書の作り方や会計に関する知識は、組織の内部に必ず持っておくべきです(※1)。

しかし、それらは、決して経営者や事業責任者の目的とはなり得ず、また中心的な仕事でないのも事実です。なぜなら、計画や会計分析は、顧客や市場にとってはどうでもよいことだからであり、“提供する側の活動を最小限のコストで行うための手段”に過ぎないからです。

さらに言ってしまえば、いくら計画づくりの手法や決算書の読み方を学んだとしても、それ自体が、企業の強さや付加価値を生み出すことはありません。これらは、どこまでいっても「作業(プログラミング)」であり、最小限の労力にとどめておくべきものであり、少なくとも日々の事業活動の主要課題にすべきものではないと思います(※2)。

(計画力や会計力を磨いた結果、市場シェアのトップに躍り出た、などという企業は聞いたことありませんよね)


 ミンツバーグ教授やドラッカー氏も強調している通り、経営者や事業マネージャーが「もうこれ以上は思いつかない、出てこない」というくらいにまで必死に考えるべきは、新しい顧客の創造や既存顧客の新たなニーズ開拓の方法であり、それらを継続的に達成していくための戦い方や体制なのです。

すなわち、経営者や事業責任者の最大の責務あるいはミッションは、「真の戦略プランニング」に優先的に時間を割き、知力の限界まで考えを尽くすことなのです。

そして、それらのアイデアが、顧客や市場をほんとうに理解したものであれば、多くの場合、QCD(品質、コスト、物流費など)が最適化され、会計数値(コスト構成や利益率など)のバランスも取れたものとなってきます。

(数字をにらみながら、あれやこれやと戦略の妥当性や製品・サービス体系のプランなどを練っていると、いつの間にか、ある程度の会計のセンスも身についているというわけです)


 憂慮すべきは、真のプランニングが欠落したまま計画力や会計力を磨き続けることです。こうした姿勢は、本末転倒どころか、前述した、提供側の論理に偏重した経営(目先のコストや効率を優先してしまう経営・・・「はやぶさ」など科学技術の事業仕分けがよい例?)を助長してしまう危険性が高くなることは、頭に入れておきたいものです。



***注釈*************************************************************

※1:基本的な会計力が心配、という人は、まず以下の3種類の書籍をそろえて、しっかりと熟読してください。

 ・財務諸表の構造と読み方を詳しく解説したもの
 ・管理会計と財務(経営)分析手法が体系立てて解説されているもの
 ・詳細かつ平易な解説付きの会計・経理用語集

これらを読んだあとは実践です。毎回、常に「会計情報から何を読み取りたいか」「もしかしたら●●は△△となっているのではないか?」といった目的や仮説を、できれば3~5つくらい持つようにします。
(人、モノ、製品・サービス、市場セグメント、組織機能等々、事業構成要素を組み合わせながら、主語と述語で表現するようにします)

 例:「○○市場セグメントの販売効率や付加価値構造の傾向はどうなっているか?」
   「○○事業部の生産性、付加価値創出力は持続的なものになっているか?」
   「ポートフォリオ上で製品が持つ役割(スター、金のなる木など)、は、自分が感じた通りとなっているか?」
   「商品・サービスの売上、粗利率、限界利益率と顧客満足度の相関はどうなっているか?」 
   「同業他社と比較して、わが社の従業員の販売効率や生産性はどうか?」

そして、3冊の本と首っ引きになりながら、会計・数値情報からできるだけ具体的な解釈(できるだけ5W3Hで表現します)を引き出す訓練を繰り返します。これを10ヶ月くらい続ければ、実戦で通用する会計力が身につくでしょう。



※2:中小企業の経営コンサルタントで、ランチェスター戦略の専門家でもある竹田陽一氏は、(中小企業の場合ですが)財務対策に費やす労力は事業活動の7%、会計作業は1%にとどめておくべきと言っています。

パーセンテージの妥当性はともかく、「(一部のトップクラスの企業を除いた)多くの企業は、まず自分たちの戦い方を確立するためにもっとも時間を費やすべき」という竹田氏の主張は、市場リーダーではない多くの企業にとって覚えておくべきことでしょう。

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2010年09月10日

●つれづれ日記: ドラッカー理論は、実は中小企業向けの理論?




※左から、わがドラッカー学会員で「もしドラ」の著者でもある岩崎夏海氏、ご存知ドラッカー教授、ドラッカー学会企画委員の私、そしてドラッカー学会代表の上田惇生氏。・・・今年の年末の大会は、どんな企画をしようかな?


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 「ドラッカーのマネジメント理論」というと、GMやIBM、ダイエー、ユニクロなどの企業名がよく出てくるので、大企業の経営者向けの理論、というイメージが強いと思います。

しかし、その内容は、(他の経営学者などのものと違って)本質を突いたものでありながらシンプルで、方向性と真に重要なポイントのみ簡潔に示されている部分が多く、日々の活動にも取り入れやすいものとなっています。

つまり、しがらみが多く、多大な調整や手続きが必要となる大企業と違って、経営者や管理者の意志ひとつで、明日からでも実践できるのがドラッカー理論であるとも言えるのです。


 また、ドラッカー学会員のファーストリテイリング社(ユニクロ)柳井正会長も指摘されているように、特に経営理論の類は、実践なくしては、ビジネスパーソンにとっては、あまり学ぶ意味がありませんよね。

その一方で、ドラッカーのマネジメント理論は、細かい方法論や実現のための仕組み・システムが細かく規定されているわけでもなく、取り組み方法はそれぞれに任されている感があります。

ゆえに、各人が個性を発揮しながら取り組めるので、特に自由度の高い中堅・中小企業人にとっては、実践するのにうってつけのものとなっているのです。


 中堅・中小企業の方々には、ぜひドラッカーの理論に触れ、その意味合いが自分にとって何なのか、自分でやるとすればどう工夫するか等々を考え、自らの機動性を最大限に生かしながら、成果の獲得にチャレンジしていって欲しいと思います。



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2010年09月01日

◆事業進化のための「バリュー・パッケージング戦略」を提唱する




※写真は、広島市内を走るシーメンス社・デュワグ社(独)、アルナ社(日本)共同製造の路面電車「グリーンムーバー5000」(広島電鉄所有)。

 ドイツのシーメンス社は、交通生態系に必要な信号機や制御システム、軌道・架線システムなどのハード、およびこれらを運用・管理するノウハウ・スキルなどのソフトを他の企業とも連携しながらパッケージングし、ワンセットで提供している。
 同社は、このアプローチにより、海外企業の採用がきわめて困難とされる日本の公共交通の分野で多くの導入実績を持つ。
(他の実績としては、JR東日本の常磐線・長野新幹線などもあります)



     ●               ●               ●



■事業進化の実戦的な方法としての「バリュー・パッケージング戦略」

 事業における「進化」とは、ターゲットとする市場、つまり環境の変化に合わせる、またはその変化を先読みする形で、事業体系を高度化させていくことです。

これを実現するための実戦的かつ具体的な方法として、弊社(ジェイ・ティー・マネジメント田中事務所)では、既存事業の周辺に埋没している利益領域(プロフィット・ゾーン)群を掘り起こし、顧客への経済的インパクトなどを基準に体系化していく「バリュー・パッケージング戦略」をいくつかの会社で推進しています。



■車両製造業の事例:

これを、列車車両の製造業で説明してみましょう。

運行密度が高まり、運行ダイヤがますます複雑になる現代において、鉄道会社は、最も効率的かつ効果的にお客さまの移動を支援するための「生態系」、および安全・快適運行という「効能や効果」を社会へ提供しているという趣が強くなります。

鉄道運輸サービスの生態系は、車両の運行はもちろん、軌道敷設・管理体制や動力システム運用スキル、電力供給システムや安全運行管理システム、各設備のメンテナンス、人材の安全教育など、ハードとソフトの要素が整合性をもって体系化され、好循環することではじめて機能します。

したがって、顧客にとって大きな価値を提供できるパートナーであり続けようとするなら、顧客が得る「効能」に焦点を当て、車両のみならず、ハード、ソフトからなる自社の価値体系を、できるだけ顧客の価値体系に合致させる形で再構築し、事業を進化させていかなければなりません。

(バリューの中核となる車両も、軽量化や走行性能などを強化していかねばなりません。しかし成熟しつつある事業においては、通常これらは特別な優位性とはならず、どちらかというと「必要条件」的な意味合いが強くなります)


 もちろん、この戦略は簡単ではありません。特にこのようなB2Bビジネスの場合、顧客側も自社のニーズ体系を明確に把握しているわけではなく、消費財などと違ってお手本となる商品やサービスがあるわけではありません。

ゆえに、組織の知力をふりしぼり、顧客との対話を通じて顧客側の価値体系を的確に発掘・可視化しなければならないのです。



■その構築方法とは?

 端的な方法としては、高度な診断・ソリューション設計能力を持ったコンサルティング部隊を形成し、彼らが顧客と接触することによって得た情報や、協業者ネットワークから得た情報をもとに、顧客に対する経済性やリスク低減の貢献レベルなどを算定しながら、価値体系の再設計・パッケージングを行う、といった方法が有効となります。

(もちろんこれは、自社単独で構築できないケースもあるので、企業間の連携・ネットワーク化が必要になる場合もあります)


 なお、特にこの類のB2Bビジネスにおいては、だいたいの場合、前例のないものを提供することになります。ゆえに、うまくやると、顧客への付加価値(利益率)が高くなり、長期的に安定した収益の源泉ともなります。

また、もともと「土地勘」がある領域を基盤にしながら周辺領域へと進出を図ることになるため、慣れてくると、意外にも、価値体系の設計スピードや洗練度合いも早くなります。さらに、新規事業などに比べてリスクも低減されます。


■成功確率は一概には言えないが・・・知力を尽くすことがポイント:

 ちなみに、私の感触では、この戦略の成功率は、あえて平均値を言うと、20%~30%といったところでしょうか。ただし、事業経験が長く、特長や差別性を持っていればいるほど、顧客セグメントやパートナー企業からの信頼がすでにあり、営業や交渉、連携もしやすくなるので、必然的に成功率は高くなります。

 自社を一段と進化させる手法でありながら、新規事業などの「飛び地戦略」とは異なり、知力を尽くしさえすれば、リスクを押さえながら事業を進化させる有効な方法となり得る方法、それが、ビジネス生態系に基づく「バリュー・パッケージング戦略」なのです。



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Posted by ジェイ・ティー・マネジメント田中事務所 at 15:52Comments(0)使える戦略理論を考える