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ジェイ・ティー・マネジメント田中事務所の代表、田中です。日比谷のオフィスを拠点に、起業家、経営者に対し、濃密な支援を行っています。いつでもお気軽にコンタクトしてください。              ※詳しい経歴は、カテゴリ(左バー)の「My Profile & 会社概要」をご覧ください。
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2010年07月28日

●つれづれ日記: 戦略立案に携わる実務者の本当の姿とは?




※理論・フレームワークによる戦略立案を提唱する人たちとそれを真っ向から否定する大前研一氏。
 写真左より、J.バーニー、B.ネイルバフ、M.ポーター、A.ブランデンバーガー、J.アベグレンの各氏、そして大前氏。
 ちなみに、このブログで何度か取り上げているH.ミンツバーグ氏は大前氏と同様の立場を取っている。


               ●          ●          ●


 先日、あるグループのオフ会があり、千代田区にあるOhma works(大前研一さんのオフィスビル)に遊びに行ったとき、ある方から、大前さんが以下のように言っていると聞かされ、実際にそのビデオを拝見するということがありました。

いわく-----戦略理論やフレームワークありきで経営を行おうとするのは本末転倒である。これらはいずれも、成功事例を自分流に解釈した人のあと講釈であって、実際にフレームワークや理論で経営ができるわけではない-----(大前研一:BBT大学院の講義録より)

これを見て、さすが、数多くの戦略実務に携わってこられ、自らの事業を起こして成功している方であると感じました。

なので、きょうは、大前氏のこの言葉について、思いつくままに語ってみたいと思います。


               ●          ●          ●


 意外に知られていませんが、責任を持って「本当に」戦略を立案し運用するという実務に携わっている、たとえば優れたリーダーが率いる事業会社の経営企画部門やマッキンゼーのような戦略の専門機関、あるいは大手企業の再生実務に携わる専門家などは、いわゆる戦略理論やフレームワークを中心的に使って戦略を立案しているわけではありません。

戦略というと、すぐにM.ポーターやJ.バーニーといった学者を思い浮かべ、彼らの理論が戦略そのものであり、事業成功の虎の巻のように語る人が多いように思います。しかし、実務者は、あくまでも戦略理論やフレームワークは、目的を実現に導くための手段にすぎないととらえます。

つまり、理論やフレームワークが先にありきではないところが、実務における戦略立案・運用に携わる者に共通する姿勢なのです。


 多くの優れた企業における戦略立案の実務では、あくまでも、以下のようなシンプルなフェーズを積み重ねて(相互に作用させながら)戦略の立案を行います。



【実際に行われている戦略立案フェーズの典型例】

 ①実現したい経営目標やビジョンを構想し、設定する。

 ②経験や体感、手元に存在する情報などを通じて、現時点でベストと考えられる、
  そこに至るまでの仮説的シナリオをいくつか立てる。

 ③それらの妥当性について分析・検証を行う。

 ④検証した仮説的シナリオを、実現や不確実性の可能性の範囲内で
  複数(代替案として)抽出し整理する。

 ⑤さらに統廃合や組み合わせの可能性を考察しながら洗練させ、絞り込む。

 ⑥最終的にもっとも腹に落ちる戦略案を選択する。

 ⑦選択した戦略を事業システムや業務プロセスへ展開する。

 ⑧経営計画に落とし込む。

 ⑨モニタリング体制を組んで実行に移す。



 もちろん、この過程で、必要であれば、何らかのフレームワークを用いたり、組み合わせて参照したりすることはあります。しかし、少なくとも、一貫して1つのものにとらわれ続けることはありません。

なぜなら、戦略の実務者にとっての仕事の中核は、あくまでも、戦略仮説に対し、知力を尽くして洞察を与えたり、斬新な視点を付加したりして、その可能性や信ぴょう性を高めることにあるからです。

更には、言うまでもないことですが、社会や顧客、従業員などのステークホルダーに対する大きな責任を背負った者に対する評価は「結果がすべて」であり、知識が豊富である、とか、精密な戦略を立案した、といったようなことのみで評価を得られることはあり得ないからです。


 冒頭の大前さんの言葉が示唆しているのは、何千人、何万人もの生活を預かるトップマネジメント・レベルの世界においては、単に理論やフレームワークにそって作業を行えば成果や評価が得られるような甘い仕事は存在しない、ということではないでしょうか。



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Posted by ジェイ・ティー・マネジメント田中事務所 at 08:35Comments(0)戦略請負人のつれづれ日記

2010年07月20日

◆つれづれ日記: 映画『大脱走』に見るマネジメント思想



※実際に脱走が行われたドイツ空軍管轄の第三捕虜収容所(当時ベルリンの南東約160kmのサガンに存在)とDVD『大脱走-アルティメット版』・・・そして脱走後に捕らわれたヒルツ大尉が収容所に送還されてくる感動のラストシーン!


                ●          ●          ●


 連休中、久しぶりに映画『大脱走』を(DVDで)観ました。3時間近い大作で、小学生の時に初めてこの映画に出会って以来、もう何度も観ているのですが、いつもあっという間に時間が過ぎてしまいます。

改めて私が解説するまでもありませんが、まず史実に基づくストーリー展開が素晴らしい。さらには登場人物も個性豊かで、娯楽映画としても第一級の作品だと思います。

ですが、われわれ企業戦略に携わる実務者としては、組織やマネジメントの視点から、特に以下の3点を意識して鑑賞すると、改めて別の面白さや新しさが感じられるかもしれません。



●多様性の連帯
 道具の調達屋や身分証明書の偽造屋、トンネル堀りのプロ等々、一癖も二癖もありそうな個性豊かなメンバーそれぞれが自分の役割をしっかりと理解したうえで、知力をふりしぼって問題解決策を考え、それを遂行する。そして、お互いを絶妙にサポートしながら「大脱走」に向けて一丸となる姿が印象的です。

さらに彼らをまとめ上げるリーダーの執念や判断力、差配力にも見るべきものがあります。

史実においても、リーダーだった人は、メンバーからの尊敬を一身に集めていたようですが、脱走のプロたちが嫌な顔一つせずに彼に従ったのは、メンバーの能力や個性をしっかりと理解し尊重したうえで、「すべてを任せる」姿勢を基本にすえて統率していこうとするリーダーの姿勢があったからではないでしょうか?

そして、日本人の経営者やマネージャーがもっとも苦手とするのが、この多様性のマネジメントだと思います。



●リスク・マネジメントと決断力
 リスクを分散するため、脱走用のトンネル「ディック」「トム」「ハリー」の3本を同時に掘り進めます。しかし、ドイツ監視兵にそのうちの1本が発見されてしまうと、見つかっていない1本も捨てて、残りの1本へ全力で集中する決断を即座に下します。

日本人なら、(これまでの労力や担当者への配慮も含めて)もったいないと考えるあまり、見つかっていない1本を含めた残りの2本のトンネルを引き続き、掘り続けてしまうかもしれませんよね。



●システムによるオペレーション管理
 きびしい監視体制の下、トンネルを着実に掘り進めるため、簡単な器具を使った何気ない動作をサインとし、それを複数連動させたアラート・システムを作ります(実際に映画の中で、「すぐに作業をカモフラージュできる完璧なアラート・システムを作れ!」といったセリフが出てきます)。

単に個人のガンバリに依存するだけではなく、メンバーのシステマティックな連携による、確実かつ安定して24時間機能する仕組みを作り上げる、といった発想には、この脱走が行われた時代(1944年)を考えると驚きを禁じ得ません。



 なお、『大脱走~アルティメット版』(2ディスク仕様)の特典ディスクには、メイキングはもちろん、S.マックイーン演じるヒルツ大尉のモデルとなった人物のその後や、実話のドキュメンタリーが収められています。史実を詳しく知ることができる興味深い内容となっているので、こちらもオススメです。



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Posted by ジェイ・ティー・マネジメント田中事務所 at 15:45Comments(0)戦略請負人のつれづれ日記

2010年07月16日

◆戦略は、美しい文章で記述できるまでに昇華せよ【大前研一】

             


             ※複雑な分析手法はあまり必要ない。むしろ、これらの基本的な分析ステップを
              洞察力をもってしっかりと消化し、説得性のある文脈を導き出すことのほうが重要...



◆気になるひとこと◆

---製品・市場戦略は、最終的には美しい一つの文章として記述できるところまで昇華しなくては、本当の味わいが出てこない---

                                                   ~大前研一 『続・企業参謀』


◆コメント◆

 経営コンサルタントの大前研一氏は、まず前提として、「製品・市場戦略(Product Market Srtategy=PMS)」にすべての経営的問題の根源があり、解決の緒を見つけることができるとしています。

さらにその内容は、豊かな想像力をベースに、さまざまな角度からの洞察や分析を行い、確信を得たうえで、ひとつの美しい流れを持った文章で表現されたものでなければならない、と主張されています。

それは、以下の順序で展開されるべきといいます。



 (1)世の中の動きと構成に対し、自社がどのように対処してきたか
      ↓
 (2)今後この趨勢が続けばどのようになるか
      ↓  
 (3)これを抜本的に変革させるにはどのような打ち手があるか
      ↓
 (4)自社の得手・不得手、強み・弱み、緊急度などを勘案し、どの打ち手が現状に最も適しているか
      ↓
 (5)たとえばその打ち手が失敗したとき、どのように対処したらよいか
      ↓
 (6)実施後の期待成果はどのようなものか
      ↓
 (7)誰が、いつ、どのようなプログラムを実行すれば全体として所期の成果があがるか



 私の経験でも、形や経験則にとらわれることなく、豊かな想像力やよどみのない洞察力、柔軟な仮説構築力を働かせて導き出した戦略は、結果的に、ひとつのわかりやすく美しい(または力強い)文脈を持っていることが多いと思います。

考えてみれば、戦略は、企業という“生き物”が市場に働きかける際の一貫した立ち居振る舞いを規定するものです。そこに、ある種の美しさや力強さ、頼もしさやバランスの良さなどが感じられなければ、それはムリやムダ、あるいは軋みを持ったものとなり、ギクシャクするのは道理でしょう。


 さらに氏は続けます。「戦略の立案というのは、生活態度の表明であり、平素の思考を論理的に記述したものにすぎない」と。

これも同感です。たしかに巷間言われているように、戦略立案のための技術(分析スキルや論理思考)はきわめて重要であり、しっかりとマスターする必要があります。しかし、ある一時期だけ、分析用に頭を切り替えるだけでは十分に使いこなせないと私も思います。


 これらの大前氏の言葉は、日頃から、論理的な思考や豊かなマインドを持って仕事に取り組むことの大切さを指摘していると思います。

そして、戦略は全社のものであるがゆえ、組織としても、ものごとを深く考える社員を育てるカルチャや仕組みを持つことで、はじめて戦略立案の技術が生き、美しく説得性を持った戦略もまた導き出される、ということを示唆されているのではないでしょうか。

当時、マッキンゼー社のいちコンサルタントとして、戦略立案の最前線で活躍していた氏の言葉には、今も変わらぬ説得力が感じられます。



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2010年07月13日

●つれづれ日記:MECEの基本形、5W3Hを使いこなそう!



                   ※まずは5W3Hフレームワークでチェックする習慣を身につけよう!



 ものごとを構造的にとらえる、というときの思考法の基本は、マッキンゼー社を嚆矢とするMECE(ミッシー:Mutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの略)でしょう。

なかでも5W3Hのフレームワークは、ある事象・現象を構造化するための、最も汎用的かつベーシックなMECEであるといえます。


 5W3Hは中学生くらいの時に知る考え方なので、「な~んだ、簡単じゃん!」と感じる人も多いと思います。しかし、目の前の議論や事象・現象、会話の内容などを瞬時に5W3Hに沿って整理・特定することは、実は容易ではありません。

私の企業コンサルティングの現場経験から言っても、自社の戦略は言うに及ばず、自分の仕事や目の前の現象でさえ、5W3Hを網羅して簡潔明瞭に即答できる人はめったにいません。

だからあまりナメてはいけません。これを修得したときのメリットは想像以上に大きなものになるのですから。なぜならば、このフレームワークは、いわば「白いご飯」のようなもので、身の回りの業務から事業戦略まで、あらゆる“おかず”に適用が可能となるからなのです。


 こなれてくると、ほぼ確実に会議や報告・連絡・相談などの生産性が向上します。さらに、個人レベルのみならず、部門や組織レベルで5W3Hが共通の思考フレーム(プロトコル)になってくると、事業全体の効率が目に見えて高まってきます。

仮に、1人の従業員の生産性が7%向上したとして、それに従業員数を乗じると、組織全体の生産性やトランザクション・コスト(業務で発生するやり取りのコスト)低減の度合いがかなりのものになることは、容易に想像いただけると思います。


 ここで、使用法について、1つだけポイントをあげておきましょう。

それは、5W3Hをあまり機械的に当てはめないことです。われわれは5W3Hというと反射的に「いつ、どこで、誰が、何を・・・」といったように、それぞれに狭い言葉(定義)をあてて考えようとしてしまいます。

もちろんそのやり方でOKの場合もあります。しかし、対象が複雑なものになるにつれて、これだけでは対応できなくなるものが増えてくるのです。ゆえに、その場合は、(下記の表でも示すように)When=時間や期間に関係すること、Why=目的や背景・理由に関連すること、といった形で、各要素を緩やかにあててみることがコツとなります。

 
 ちなみに、こうした思考法の修得もスポーツと同じく反復練習が必要で、ある程度成果が見えてくるまでしつこく粘る姿勢が大切です。

ですが、馴染んでくると、むしろこうしたロジカルな思考スタイルをとらないと気持ち悪さすら感じるようになってきます。ここまでくればしめたもので、あなたの仕事の生産性は確実に向上し、口から出る言葉までが変化していることに気付くでしょう。

別の言い方をすると、この思考法は取り組みやすい割にかなりの脳トレ効果があるようです。実際に私は、わずか2~3ヶ月の間に、目の前の人たちのしゃべり方やライティング能力が目に見えて向上していくのを何度も目の当たりにしています。


 まずは、報告・連絡・相談事項に関することや身の回りで起きている問題など、身近な出来事から始めてみてはいかがでしょうか?



【5W3Hフレームワーク】

 ※使い方のコツは、それぞれの要素を「緩やかにあてる」ことである.

 ・Why =理由、背景、目的、固有の事情、理念、思想、哲学など.
 ・What =当該事象の内容など.
 ・When =時間や期間、期限など.
 ・Where =場所、場、空間(物理的な場所以外も含む)、置かれた環境、市場など
 ・Who =関係者、関連部門・部署、関係機関、競合、パートナーなど.

 ・How =方法、メカニズム(構造)など.
 ・How many =オーダー(ボリューム)、影響度、人員数など.
 ・How much =心理的なものなど目に見えないものを含むあらゆるコストなど.



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2010年07月08日

◆私の事業再生はリストラなどの手法とは無縁である【三枝 匡】




◆気になるひとこと◆



「私の事業再生は、リストラや事業売却のような、いわゆる切った張ったの手法とは無縁である」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・三枝 匡 『日本の経営を創る』・・・・・・・・・・・




◆コメント◆

 ターンアラウンド・スペシャリストという肩書を日本で最初に名乗ったとされる三枝匡(さえぐさただし:現ミスミ会長)氏のひとことです。

このことばからも伺えるように、事業再生人あるいはターンアラウンド・スペシャリストというと、リストラや資産売却など、主に財務や資産の整理といった面から会社を建て直す人の呼称だと思っている人が意外に多いようです。

しかし、改めて彼の表現を借りて説明すると、

●「真の事業再生人は、いわば社長や経営陣と全く同じ立場でビジョンや戦略、目標を立て、従業員とともに責任とリスクを共有しながらそれらの実現を目指す」

といった姿勢で行うのが本来のあるべき姿だと思います。


 ちなみに、ここ何年かで耳にするようになったことですが、「ターンアラウンド・マネージャー(TAM)養成コース」のような講習会を受講しただけの事業経営の経験がない人が、企業再生スペシャリストと称して中小企業などの再建にあたることがあるようです。

(さすがに中堅・大手企業などではほとんど見当たりませんけどね)

ですが、あまり芳しくない成果を見るにつけ、そうしたレベルで経営の責任者を引き受けてしまう考え方の根底にあるものは何なのか、と考えてしまいます。


 でも他の人の事ばかりを言えません。かつて私も、大手企業再生機関や米国系ファンドなどと組んで仕事を行っていたとき、当時世間を騒がせていた、いわゆるハゲタカ・ファンドの一派と一緒にされ、一部のマスコミや団体などから「リストラ屋」とか「米国資本の手先」などといわれのない中傷を受けたこともありました。

この原因の一つとして、三枝氏や(僭越ながら)私のように、事業会社の経営経験があり、なおかつ戦略コンサルティング・ファームなどにおける多くのプロジェクト経験をあわせ持つプロ経営者の実態が、一般にイメージされるものとはかなり違っているからだと思うのです。

実は、こうした事業経営畑出身の専門家が再生案件を手がける場合、たとえば、成功の基準として、EVA、粗利、営業利益といった複数の利益ベースで、バランスよく継続的に黒字を出せるビジネス構造にまでもっていくことを目指します。

その過程で、たとえばマーケティング・プランの成功や技術開発が活発に行われるようになったか、常にQCDが考慮される体質へと転換しているか、社員の意識改革が成され生産性が向上したか等々、(リストラや事業売却よりも)前向きな成果を多面的に測定しながら再生を図っていくほうにはるかに力を注ぐのです。

別言すると、事業の強さを取り戻させるためのきわめて泥臭い戦いに、真正面から挑んでいくことが仕事であるといえるでしょう。


 TAMなどの呼び方はどうあれ、事業経営のプロフェッショナルを標榜するのであれば、当該企業の経営陣や従業員と、価値観や方向性はもちろん、できるだけ「責任やリスクも共有」すべきでしょう。そのうえで「お客さまと社会への貢献」という目標に向かって、がっちりとスクラムを組んで歩む、といった姿勢を持つことが本来のあるべき姿だと思うのですがいかがでしょう?



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2010年07月05日

◆つれづれ日記: マッキンゼー社の「OVA」から学べること



 
    ※あらゆる業務は本質的にサービスである。その価値を測るとき、「成果の受益者」の視点を忘れてはならない...


              ●          ●          ●


 連日蒸し暑いですね。数回着ただけでスーツをクリーニングに出さなければなりません。最近は洗えるものが出回っているようですがどんな感じなんでしょう?ちゃんときれいになって、シワとかも出ないんですかね?お持ちの方はぜひ教えてください---




---さて、突然ですが、私はもともと生産システム畑の出身で、VA/VE(バリュー・エンジニアリング/バリュー・アナリシス)やIE(インダストリアル・エンジニアリング)などの手法を用いて生産工程や生産管理システム、FA(ファクトリー・オートメーション)の設計・改善を行うといった仕事をしていました。

なので、今日は、これらのむかし(?)の手法について、思いつくままに述べてみたいと思います。


 VA/VEやIEというと、一般的には、自社製品と他社製品を並べてバラバラに分解し、細かいムダやオーバーデザイン、プロセスの隘路などを発見し、材料費の削減や手間ヒマの簡略化など、主に内部の事情からくるコストダウンにつなげるという目的で使われている例が多いようです。

つまり、(限りなく)「閉じられた世界」で用いられてきたということです。

しかし、実は、VA/VEやIEといった手法は、このような絶対基準(閉鎖空間)でのコストダウンに用いるだけではなく、「受益者からの視点」すなわち「提供先にどういった経済的なインパクトやリスク低減などのメリットをもたらすか」といった外からの評価指標を加えて使ってみると、サービス業務をはじめとするさまざまなワークを設計・改善するためにも活用できるのです。

つまり、業務を行っている当事者だけではなく、その業務の受益者の視点が入るので、そうした人たちも巻き込んで、より多角的な視点から、「その製品や業務はほんとうに役に立っているのか」「コストや工数に見合う効能が得られているのか」といった議論ができるようになるのです。

そして、この考え方を反映し体系的にまとめた数少ない手法があります。マッキンゼー社が間接業務の削減のために開発したOVA(オーバーヘッド・バリュー・アナリシス)です。


 このOVAはかなり実用的な手法で、コストダウン・プロジェクトにありがちな「10%一律削減」や「トップダウンによる一方的なコスト削減」と違って、まず当該業務に対し、当事者や業務の受益者によって定量・定性的な評価を施したうえで削減や改善の可否を決定します。

ゆえに、改善案がファクトとコンセンサスに基づいて決定されるので受け入れられやすく、また、真に無駄な業務が削減されるので、バグを除去したプログラムのように業務プロセスが滑らかになり、結果として定着しやすくなるというメリットが認められています。


 大胆な戦略立案コンサルティングのイメージが強い同社ですが、実はVA/VEのような地味(?)で伝統的な手法もしっかりと取りこんで、自社の視点を加味しながら活用しているんですね。

ものごとを鵜呑みにせず、理論や手法・技法の本質をみきわめ、さらに自分たちの問題意識や創意工夫をぶつけてみる、といった姿勢には、われわれも学ぶべきところがあるのではないかと思います。


 ちなみに、かつて一世を風靡しながら、古くなってしまったと思われている手法とか、適用範囲が狭いなどと思われる手法にも、新たな視点を加えたり、ちょっとした改良を施したりするだけで、複雑な現代の企業経営や、その他の(特にソフトサービスなどの)領域に応用できるものがいくつもあります。

VA/VEにかぎらず、皆さんも、むかし学んだり使ったりした手法・技法を別な角度から見直してみると良いと思います。

自分の創意工夫を注入することによってその手法がさらに手になじんだツールとなるし、さらには大きなコストもかからない。何よりも成果を獲得できる可能性がグンと高まると思うのですがいかがでしょう?



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