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ジェイ・ティー・マネジメント田中事務所の代表、田中です。日比谷のオフィスを拠点に、起業家、経営者に対し、濃密な支援を行っています。いつでもお気軽にコンタクトしてください。              ※詳しい経歴は、カテゴリ(左バー)の「My Profile & 会社概要」をご覧ください。
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2010年05月20日

◆変化の抵抗の底にあるものは無知である【ドラッカー】



               ※むやみに恐れるのではなく、構造や特性をしっかりと見きわめることが重要...



◆気になるひとこと◆

---変化の抵抗の底にあるものは無知である。未知への不安である。しかし、変化は機会と見なすべきものである。変化を機会としてとらえたとき、初めて不安は消える---

                                   ~P.F.ドラッカー『マネジメント-課題 責任 実践』



◆コメント◆

 変化をチャンスとしてとらえようとすると、まず、その内容や構造を分析し、正しく理解しなければなりません。さらには、積極的にその可能性を探り、自らがリードするつもりで対峙することが求められます。

これは一見、大変そうに思えます。

しかし、たとえば、クライアントのプロジェクトメンバーなどと、ある市場セグメントやテクノロジー領域における変化の中身を詳しく知ろうとして、その可能性や市場性、経済性などを調べ始めたとします。

すると、最初の不安はどこかへ行ってしまい、その変化をさらに深く掘り下げることに、いつの間にか夢中になってしまっていた、というケースも少なくありません。

人間は本来、誰もが、わからないものに対して「理解したい」という欲求があり、さらには、(可能性が見えるのであれば)チャンスに積極的に取り組んでいきたいという願望を持っているように思えてなりません。

ドラッカーは、そうしたマインドを上手く活用し、変化をものにせよ、と言っているのかもしれません。

また、決して運だけでチャンスが巡ってくるのではないと思います。適切な考え方とアプローチをとるのであれば、それをものにできる可能性は、誰に対しても高まってくるのではないでしょうか。



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Posted by ジェイ・ティー・マネジメント田中事務所 at 14:51Comments(0)気になるひとこと・フレーズ

2010年05月17日

◆“価値可能態”ではダメ!本業・コア事業を強化する実戦的手法



             ※本業・コア事業の高度化、インテリジェント化を考える際の1つの突破口は、
               顧客の価値連鎖を正確に理解することである。


 一般的に、自社が提供する製品やサービスを指して、「わが社の価値は●●である」という言い方をする。しかし、これらの大半は、顧客から見ると、価値体系(バリューチェーン)の一部を構成しているに過ぎず、部分的な価値を提供しているにすぎない例が多い。B2B、B2Cに限らず、特に日本企業においてこの傾向が顕著である。

部分的な価値しか提供していないということは、いいかえれば、自社の製品・サービスは、完全価値となりうる可能性を持っているにすぎないもの、いわば「価値可能態」にすぎない発展途上にあるものであるといえる。

たとえばパソコンである。提供側は、完成品で価値そのものと考えていても、享受する側からは環境設定や周辺機器の準備等々、他の膨大な作業やコストが発生するため、「快適な情報環境、作業環境を得たい」といった顧客価値の観点からは、部分的な価値、すなわち価値になる可能性のあるもの(=価値可能態)に過ぎない。

翻って、GE(ゼネラル・エレクトリック社)から街の電気屋さんまで、高付加価値による高い利益率を達成している企業はほぼ例外なく、自社の価値可能体を顧客側から見直し、高度化・インテリジェント化する取り組みを行っている。つまり、価値を完成に近づけるための取り組みとして、「顧客の視点」のうち、特に生産性や経済性、快適性、リスク低減という観点から、しっかりと価値の体系化・仕組み化・システム化を行い、顧客に対応する体制を構築しているのである。

「いや、自社の製品には満足してもらっている」「わが社のサービスへの不満など聞いたことはない」という反論もあるだろう。しかし、日本の消費者やユーザーの特徴として、「今後のことも考えて」あからさまにクレームを言うことは少ないものである。また、長年付き合いがあるから言いにくいということもあるだろう。

しかし、最近とみに増えてきているのは、消費者やユーザー自身が「何が足りていないか、どのような対応をして欲しいか」を明確に説明できないケースである。

よい例が、たとえば、iPodとiTunesをコアとした「音楽ライフの新しい生態系を提供するサービス」である。世の中にまったく存在しなかったこのような体系を、だれが「新しい音楽ツールとソフトウェアを中心にした音楽配信システム環境が欲しい」と事前に説明できただろうか。


















 そこで、これをどういう方向で考え、どういった活動を行っていきながら探りを入れていくかがポイントとなる。

具体的には、顧客からみた完成価値に接近するための方向性が2つある。


1つ目は製品・サービスそれ自体を高度化(必ずしも高機能化ではない)し、顧客から見た完成価値に近づけること。

2つ目は価値可能態に補完的価値やサービス的価値を付加し、価値の体系化をもって顧客のニーズを充足させる方法を考えること。


いうまでもなくこの2つに共通して求められるのが、顧客の潜在的・本質的なニーズを想像力豊かに構想し、しかも、ポイントとなる要素については特にデリケートなレベルで把握しながら、それらを新たな価値へと編成し直す能力である。

(上記2つの具体的なデザイン方法については、別のコラムで述べる)

このようなことをいうと、必ず「顧客ニーズの調査なら、日々の営業やCS(カスタマー・サーベイ)等でやっている」との声が出てくる。しかし、製品・サービスを売らんかなの姿勢で行われるこれらの営業トークや、顧客に経済的なメリットがもたらされないCS活動では、残念ながら本質的なニーズはつかめないことが多い。

(ソリューション営業などという言葉が使われて久しいが、いまだにこれを実現出来ていない企業が多いのは、ひとことでいって、これらのサービスを「おまけ」のレベル=稚拙なレベルでしか実施できていないからである)

ましてや、複雑な産業用機械やプラント設備、ファクトリーオートメーションなどのB2Bビジネスでは、個別性や独自性も高く、顧客自身もどのような「解」が適切なのかが不明確なケースが多いゆえ、とてもCSを実施する程度の取り組みではつかめないのである。


 こうしたサービスは、いわば「問診」などの手法を用いて体系的かつシステマティックに情報収集を行い、経済性や生産性に対するインパクトを把握し、一方で想像力や構想力豊かに頭を働かせながら見えない価値体系の設計にまでつなげることができなければ、とても実現できない。。

この能力を獲得するための1つの近道として、相手の懐に入り込んだ問診、診断を行い、顧客とともに問題点を考え、顧客の問題点を真に解決することを志向する活動、すなわち「コンサルティング(問題解決)機能」を導入するのが、現時点ではもっとも現実的な取り組みである。

ただし、繰り返しとなるが、そのコンサルティングは、製品を売るためのおまけや付随サービスのような位置づけであってはならない。ひとつの目安として、コンサルティングのアウトプットそれ自体に対して、顧客が(少なくとも一定額の)お金を払おうという気になってもらえることが最低の基準である。

これには、緻密でシステマティックなアプローチはもちろんのこと、組織全体の発想の転換が求められる。顧客の経済性、効率化、生産性の向上、はては業績の向上に対し、どのように、どれだけ貢献できるのか、といった説明がしっかりできるチームや体制、組織カルチャを再構築しなければならないのである。

(特にB2Bでは継続的かつ安定した顧客対応が求められるゆえ、“一発芸”で終わらせないための企業カルチャづくりがポイントとなる)

こうした取り組みは、もちろん簡単なことではない。しかし、日々丹念に、適切なやり方をもって検証と改善を積み重ね、「顧客とともに価値をつくりあげる」といった「共創」の視点をしっかりと共有しながらお客さまに対峙することにより、必ず道は開けてくるものである。

いま一度、自社の事業構造や一連の活動をとらえ直し、価値可能態の提供にとどまっていないかを冷静に見直し、自社の本業やコア事業の進化につなげていってほしいと思う。



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Posted by ジェイ・ティー・マネジメント田中事務所 at 18:45Comments(0)実戦的マネジメント手法を考える

2010年05月12日

◆「京都大学院 生産性向上プロジェクト」参加募集のお知らせ



  ※トランザクションコスト理論・解析システムの研究開発者である京都大学経営管理大学院の末松千尋教授とその講演風景(小さくてすいません!)、および京大吉田学舎。末松教授は、マッキンゼー社などでのコンサルティング経験が豊富な研究者で、弊社のアドバイザーです。



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 ◆◆すべての企業様へ! 2010年9月31日までの期間限定:第二次募集◆◆
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2010年5月12日


  「京都大学 経営管理大学院:科学的生産性向上プロジェクト」参加企業募集のお知らせ


 科学的に見えないコストを把握し、生産性を飛躍的に向上させ、同時に組織の筋肉質化・スリム化をめざしたいと考えるすべての企業様へのお知らせです(基本的に、企業規模や業種・業態は問いません)。

             ●     ●     ●

 第一次共同研究では、多数の企業様にご参加いただき、改めまして心よりお礼申し上げます。

医薬品メーカー、金融機関、システムインテグレーター、加工機メーカーなど20社を超える企業様の積極的なご参加を得て、さらにトランザクションコスト削減の手法に磨きがかかり、多大な研究成果を得ることができました。

京都大学産学協同プロジェクトでは、引き続き、二次募集として、「トランザクションコストの削減&生産性向上プロジェクト」(産学共同研究)への参加企業を募集します。


             ●     ●     ●


 現在、京都大学:経営管理大学院との産学協同プロジェクトによる「業務コスト・業務の経済合理性を科学的・定量的に測定するシステムの導入」を行っています。

ここで使用されているシステムのフレームワークは、近年注目されている「取引費用経済学(2010年ノーベル経済学賞受賞」のコンセプトを応用しており、現状の事業・会社の効率性・生産性や問題点が客観的かつ正確につかめる画期的なものとなっています。

大手情報システム開発企業の全面協力により、この測定システムはすでに完成をみており、京都大学の強みである医療・医薬品分野を中心に、製造業、サービス業など多くの企業様に導入が行われています。

(必要なPC環境を整えるだけで導入が可能です。また、参加終了後も引き続きご利用いただけます)


経営者・管理者の方で、

 ◆「自社のビジネスの経済合理性を測定/診断し、生産性を飛躍的に向上させたい」
 ◆「本当に無駄なコストだけを安全に削減したい」
 ◆「戦略や経営計画の力強い推進力・実行力を獲得したい」
 ◆「社員が自主的に行動できるようになるために、(科学的なファクトに基づく)気づきを与えたい」
 ◆「人材や業務特性を把握し、評価制度や教育・研修体系を適正化したい」

とお考えの方は、お気軽にお問い合わせください。

参加要件について確認後、くわしい説明にうかがわせていただきます。



※弊社ホームページの「お問い合わせ」からご連絡ください。
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[プロジェクトについて]

●基本的な実費負担のみでご参加いただけます。

●他社比較などによる各種評価・採点が受けられ、自社のコスト構造・生産性のレベルを客観的に把握することが可能になります。

●データ活用法について、先駆的な経営手法の開発で知られるマッキンゼー社をはじめとする一流コンサルティングファーム出身の大学教授陣による実践的なアドバイスが受けられます。

●ほかの経営者の方々との交流が図れます。(製薬会社、IT、製造など多くの企業様にご参加をいただいております)。

●共同研究者であるジェイ・ティー・マネジメント田中事務所の経営支援が最低限の費用でご利用いただけます。

(田中はかつて京都大学に在籍したことがあり、現在も共同研究者としてこの取り組みに全面的に協力しています。特に現在のような経済情勢下では、このような研究活動は社会的意義が高いと考えており、ボランティアに近い形での取り組みを行っています)


京都大学:経営管理大学院 共同研究者 
ジェイ・ティー・マネジメント田中事務所
代表 田中 純


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Posted by ジェイ・ティー・マネジメント田中事務所 at 21:40Comments(0)JTM田中事務所からのお知らせ

2010年05月11日

◆ポーター教授の分厚い戦略本を読みやすくする方法




               ※マイケル・ポーター教授(左上)とその代表的著作である「競争の戦略」、
                「競争優位の戦略」。日本語訳が洗練されていないこともあって、
                この和訳本2冊を完全に理解している人はごく少数ともいわれる。



 先週、ある情報通信サービス企業の経営企画部門のメンバーの方々から、ハーバード・ビジネススクール:マイケル・ポーター教授の2大書籍である「競争の戦略」「競争優位の戦略」についての読み方をたずねられた。

この人たちがいうには、同書を「何年も前に購入したのだが、いまだに読了できていない」ということであった。旧い著作であり翻訳がこなれていないこともあるのだろう。私の周囲にもこうした“悩み”(?)を抱えている人が散見されるので、これについてちょっとした工夫を述べてみたい。

 ちなみにこの方法は、約20年前、私が社会人としてスタートした頃に試みて、一定の成果を得ることができたものである。当時、20代前半くらいだった私は、この本の内容についてはチンプンカンプンであった。

しかし、ポーターの著書の特徴を逆手に取り、ちょっとした工夫を加えた結果、1ヶ月後くらいには、ポーター理論を(何とか)体系的に説明できるようになったので、かなりの人に適用が可能であると思う。


 さて、ポーター教授の一連の書籍は、彼の主張する複雑な戦略分析体系をすべて網羅するものであり、一大マニュアルの様相を呈している。しかし、箇条書きや図表が多用されるマニュアルと違って、ほぼすべての要素や項目がのっぺりとした文章で記述されているため、各要素・項目の境目が一見してわかりにくく、視覚的・直感的にとらえにくいものとなっている。

また、マニュアルと違い、階層構造の目安となる番号が、大雑把にパートⅠ~Ⅲと、1~16までの章番号がふってあるだけという、きわめて不親切なものとなっているため、一体自分がどの部分にいるのかがわからなくなってしまう。

そこで、“マニュアル”としての構造が鮮明になるように、これらの要素・項目(文章のかたまり)の内容をわかりやすくしたり、番号付けによる階層構造化を自分でやってしまうのである。

以下、作業の具体的な説明を行う。


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作業その1.要素・項目(文章のかたまり)のテーマ部分と説明文を視覚的に分ける
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 具体的なやり方はカンタンである。まずは、黄色マーカーと赤のボールペンを用意する。

 たとえば以下のような、分析の視点を述べた文章があったとする。・・・見るだけでウンザリするかもしれないが、とりあえずガマンして目を通して欲しい。


※書籍名と使用部分:「競争の戦略」(昭和62年第16版)81頁
 「3 競争業者分析のフレームワーク 多角化企業の本社部門と個別事業部門の目標」より。

1 その企業全体の現在の業績(売上成長率、投資収益率など)はどうか。このデータから、企業全体の目標をさぐる手がかりが得られる。そして、そこから、当面の競争相手である事業部門のマーケット・シェアの目標、価格決定方針、新製品発売意欲といったものが推測できる。その事業部門の業績が企業全体の業績よりも低い場合は、たいてい新製品発売の意欲が強いものである。企業全体の業績に安定した貢献をつづけている事業部門は、その実績を危険にさらすような思いきった行動をとる可能性は低い。

(2~7は省略)

8 企業内の他の部門と業績とニーズから考えて、企業としてはその事業部門にどれだけの売上目標、投資収益率目標を与えているか、また資金面ではどんな制約条件を課しているか。業績や与えられた目標から判断して、他の部門よりも多くの企業内資金の配分を受けられるだろうか。その事業部門は、本社の関心を引き、支援を受けられるだけの規模を現実にもっているのか、あるいは将来そうなる力を秘めているのか。そうではなくて、本社からは無視され、経営上の優先順位が低いままにすえ置かれるのだろうか。その企業の他の部門はどの程度の投資を必要としているか。


・・・万事がこうした調子による記述なので、このたぐいの理論書を読み慣れていない人には正直キツイと思う。しかし、以下の2つのことをやるだけで格段に理解がすすむ。


【その1】
 その段落(文章のかたまり)の要約あるいはテーマとなる「文章(主に短文)」を黄色でマークする。この2冊の場合、短文が階層構造の上位概念(要約・テーマ)になっていることが多いので、ここをくっきりと、わかりやすい形で見える形し、説明文と区別できるようにすることで、読みにくさがかなり解消される。

●黄色マーカー部分

  1 その企業全体の現在の業績(売上成長率、投資収益率など)はどうか。

  8 企業内の他の部門と業績とニーズから考えて、企業としてはその事業部門にどれだけの
    売上目標、投資収益率目標を与えているか、また資金面ではどんな制約条件を課しているか。



【その2】
 次に、要約・テーマを説明している「文章のかたまり」を赤ペンで、BOXのように四角いワクで囲んでしまい、これも視覚的に浮き上がるようにする。

●赤ペンでBOXのように囲む部分(黄色マーカー以外の残りの部分)

 このデータから、企業全体の目標をさぐる手がかりが得られる。そして、そこから、当面の競争相手である事業部門のマーケット・シェアの目標、価格決定方針、新製品発売意欲といったものが推測できる。その事業部門の業績が企業全体の業績よりも低い場合は、たいてい新製品発売の意欲が強いものである。企業全体の業績に安定した貢献をつづけている事業部門は、その実績を危険にさらすような思いきった行動をとる可能性は低い。(1)


 業績や与えられた目標から判断して、他の部門よりも多くの企業内資金の配分を受けられるだろうか。その事業部門は、本社の関心を引き、支援を受けられるだけの規模を現実にもっているのか、あるいは将来そうなる力を秘めているのか。そうではなくて、本社からは無視され、経営上の優先順位が低いままにすえ置かれるのだろうか。その企業の他の部門はどの程度の投資を必要としているか。(8)



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作業その2.番号をふり、階層構造をわかりやすくする
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 前述したとおり、ポーターの著書は、細かな分析や診断項目がたくさんあるにもかかわらず、ざっくりと2階層のみ大きな番号がふられているだけである。476ページの分厚い本にもかかわらず、パートⅠ~Ⅲまでと1~16までの章番号の合計19個のみ、というかなりムチャな(?)ものとなっている。

よって、各章を構成する文章のかたまり(主としてこれも分析・診断項目である場合が多い)に自分で番号をふり、わかりやすくするのである。

ただし、すべてに階層構造を表す番号をふるのは大変な労力を必要とする。ゆえに、前述の2階層に加えて、新たに1階層程度を加えるつもりで、「1-(1)」「1-(2)」のように、各章をさらに1階層ぶんだけ細分化する番号を付けるのみでよいと思う。残りの部分については、詳しく理解したい部分のみ、適宜細分化する(「1-(1)-①」など)、といったやり方をとる。



 以上で作業は終わりである。たったこれだけだが、格段にわかりやすくなること請け合いである。


ちなみに、1の作業のポイントは、視覚効果と直感的にとらえる形を最優先するために、必ず色分けすること。それも、マーカーとボールペンのように違った視覚効果をもたらすものを使いわける。(これをケチったり端折ったりしては絶対にいけない!)。

また、前者のマーキングの適用が効果的な部分は、主に各種分析・診断項目である。その量は全体の30%くらいだろうか。ただし「業界の構造分析法」「競争業者分析のフレームワーク」など重要な部分に集中しているので、たとえこれだけでもきちんと内容を把握できると、かならず他の部分もそれに引っ張られて理解がすすむ。

新たに番号をふり、階層構造を明確化する作業では、当然のことながら全体の構成をみきわめながら作業をすることになるので、ポーター理論の体系についての理解が自然と深まっていく。

何よりも、これをやるプロセスで集中して内容を確認することになるので、その時点で理論がスッと頭に入ってくる。「読もう」「理解しよう」とすると、力が入り、字ズラを追うことに意識がいきがちになるが、「チェックしてやろう」といったナナメの姿勢であたると、冷静な思考が働き、“脳の力が抜け”るのである。

 できるところだけで構わないので、だまされたと思ってぜひトライしてみて欲しい。


 ちなみに、ポーターの本を読破するためのハウツー本や解説本のようなものがあるが、理論のとらえ方が表層的であったり、理論とフレームワークを混同していたり、用いられている事例が適切ではなかったりするため、あまりおすすめできない。

 また、ポーター理論そのものに対しては、私は、特に「昨今の変化の激しい経営環境下では、事実上、使用不可能である」「実務面でのリスクを考慮していない」などの理由から、その効能については懐疑的な立場であることをお断りしておきたい。

なお、これについては、別のコラムで述べているので参考にしていただきたいと思う。



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Posted by ジェイ・ティー・マネジメント田中事務所 at 00:37Comments(0)使える戦略理論を考える

2010年05月07日

◆あと講釈理論の典型?ハメル&プラハラードの未来競争戦略理論

         


           ※コア・コンピタンスの構築でバラ色の未来が待っている?ハメル&プラハラードの両教授。
             ハメル氏(右)は、米国市場2番目となる巨額負債倒産、不正会計事件を引き起こした、あの
             「エンロン社」を、新時代の代表格でありイノベーションの才に富んだ企業とほめそやしていた
             ことでも知られる。


 日本企業に対する考察を中心としたこの理論の骨子は、最終製品や基幹製品を生み出すコア・コンピタンスを重視し、未来に向けてその能力を鍛えよ、というものである。未来をできるだけ予測し、きたるべきその市場で勝負するために、ストレッチした目標を掲げ、目標の達成方法にレバレッジを効かせよ、と説く。つまり、未来予測が前提となっており、予測によって設定された市場や経営環境に向けて長期的なスパンで自らの能力に磨きをかけるべき、というのがこの理論の骨子である。

ハメル&プラハラードによれば、たとえばソニーの小型化の技術など、その企業の得意技がコア・コンピタンスにあたるという。これは、その企業の製品やサービス、あるいは生産プロセス等に一貫して現れる、組織としての特徴的な(得意とする)能力のことを指しているようである。

確かに各企業の癖や傾向、得意技のようなものはあり、それが当該企業の強みや差別化要因となるのは事実である。しかしそれらは意識的、自律的、戦略的に作り上げられたものというよりは、自然に積み重ねられたものである色合いが強い。

すなわちPDCAサイクルを長期的に回転させて改善活動を積み上げ、失敗を積み重ねながら思考錯誤を経た結果として表出している現象であるといってよい。別言すれば、ある明確な意図や方向性をもって、洗練された形で構築された能力とは似て非なるものである。

つまりは、短期的改善の積み重ねの結果である特徴・得意技を現象追従的に観察し、「コア・コンピタンス戦略」というラベルを貼った、あと講釈的な匂いが残る理論であるといえる。

その証左の1つとして、コア・コンピタンスを構成する原単位や組成方法、構造分析方法、戦略への落し込み方法などについてはほとんど触れられていない。いわば、城を築くのに、その土台を築く原単位となる素材を何にするのか、柱にはどのような材料を用いるのか、そして、どのような手順で築城するのかといった基本的な理論要件が明確ではないのである。


 さらに、予測した未来をめざすためのストレッチやレバレッジなどの方法論が展開されていくが、肝心の未来予測の具体的な方法が「多くの時間を投入して考えるべき」以外にこれといって述べられていない。

もちろん、未来を予測する方法を提示せよ、とまで求めるべきではない。しかし、「コア・コンピタンス構築の指針となるべき未来市場を描くための情報を早期に察知・感知する程度の方法については言及があって然るべきである。しかし、残念ながらこれが見当たらないのだ。

しかし、これはある意味で、妥当ともいえる。「予測」については、多くのシンクタンクや調査機関によるものが毎年発表されるが、長期はおろか半年後でさえ現実には予測できないのである。よって、未来予測を基盤とするハメル・プラハラード理論の成立はますます困難になってきたと考えざるを得ない。


 ちなみに「予測」レベルまで到達できるかは別として、インサイトや先の見通し、あるいは嗅覚のような能力を強化する方法は存在する。それは、しっかりとした仮説を構築し、それを自分の「型紙」にして経営環境との接触をはかりながら、それとの(微妙な)ズレに対する早期感知・発見能力を鍛えていくことである。

例えて言えば、植物の相を識別できる植物学者が、草が生い茂った草原の中からまったく新種の萌芽を発見するような能力である。このような能力を可能にするのが、とりわけ学習効果が高い「実戦」を数多くこなし、チャレンジを積み重ね「痛い目」や「失敗」に遭うことで(組織としての)鋭敏さや洞察力を磨くことである(別コラム「最後のフロンティア、「失敗」を戦略資源として活かせ!」を参照)。


 未来の製品・サービスや市場の想像図を描くことが先にあるのではない。少なくとも、両教授がいうようなSBUうんぬんといった組織形態論(ハードウェア論)を議論するだけでは十分ではない。何よりもまず、未来に向かってあくなきチャレンジを積み重ね、進化し続けることを志向する組織体質や人材集団の養成・熟成が必要である。

そして、チャレンジ(実験行動)の体系的な積み重ねによって、研ぎ澄まされた組織感覚の獲得をめざす。こうした取り組みを通じて発想や開発ができるようになった組織にのみ、はじめて未来市場への扉が開かれ、コア・コンピタンス戦略開発の方向性が明確に見えてくるのではないだろうか。



◆参照文献:
Hamel, G. & Prahalad, C.K., Competing for the Future, Harvard Business School Press, 1994
(ゲイリー・ハメル&C.K.プラハラード著、一條和生訳『コア・コンピタンス経営―大競争時代を勝ち抜く戦略―』日本経済新聞社、1995年)


こちらでもご覧ください。
大きな文字で、読みやすくご覧いただけます。
http://blog.goo.ne.jp/jtmtanaka



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