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ジェイ・ティー・マネジメント田中事務所の代表、田中です。日比谷のオフィスを拠点に、起業家、経営者に対し、濃密な支援を行っています。いつでもお気軽にコンタクトしてください。              ※詳しい経歴は、カテゴリ(左バー)の「My Profile & 会社概要」をご覧ください。
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2010年10月07日

◆競争は戦略の目的ではない 【大前研一】




 ※日本企業の試練と真の国際化への厳しい道のりはこれから始まる。戦後65年のツケを払わされる時がやってきた。


                  ●                 ●                 ●


 先日、中国の温国家主席と菅総理の会談が行われたそうですが、菅さんははいったいどのような話をしたのでしょうか?“戦略的互恵関係”などといっていますが、そもそも日本の戦略とはどのようなものなのか、その上位概念としての国家ビジョンはどのようなものなのでしょうか?

現在の政権からは、それらが伝わってきません。むしろ、目の前で起きた問題に対し、短絡的に反応する行動様式だけが目立つ、戦略の意味がまるでわかっていない「戦略シロウト内閣」といわざるを得ません。

参照:『日中「廊下会談」協調演出に残る危うさ』(10/5日経電子版)


*******

◆気になるひとこと


      --- 競争は戦略の目的ではない ---


                   大前研一 『ハーバード・ビジネス・レビュー 2007年(1987年の論文を再録)』



◆コメント

 当時、どんどん現実離れしていく感があった競争戦略理論に対する大前研一さんらしいアンチテーゼです。

この言葉自体は1987年のものですが、戦略のエキスパートであるマッキンゼー社が、2003年に再びこの大前論文を世に問うているうえに、大前さん自身が、現在も同様の指摘をされているので、今回、この言葉を取り上げてみました。

さらに、以下の指摘が続きます。

「ライバルに勝つことに血眼になると、戦略は相手の出方次第でクルクル変わることになる。リードを許すまいと、相手の一挙手一投足に反応する行動様式が常態化していく」

・・・なるほど、ちょっと変わった機能を持った製品が出ると、すぐにそれに追従した製品でヤマダ電機の売り場がいっぱいになってしまう、といった現象を、われわれはイヤというほど見てきてましたよね。

エアコン、デジカメ、携帯電話、洗濯機、電子レンジ。消費者は誰も「使った場合の違い」を説明できません。クルマやコンビニ、銀行のサービス、最近流行の地域開発(町おこし)のパターンも独自性があるとは思えません。

ちなみに、この「使った場合の違い」を、サムスン電子の元常務で、現東京大学特任研究員の吉川良三氏は「消費品質」と表現されています。

吉川さんは、8月に行われた『日本がものづくりで韓国に負ける理由』というテーマの講演で、日本企業はこの消費品質がわかっていない、と指摘されていますが、要は「消費者のことをきちんと見ていない」という最も基本的なことを、此の期に及んで指摘されているということです。

吉川さんの言葉を待つまでもなく、われわれ生活者は、実にさまざまな不便を強いられてきたと思います。

たとえば自動車です。一車種ごとに莫大な開発費と数百人ものエンジニアを張り付けて“丁寧に”開発を行い、4年に一度、消費者に買い替えを強要してきました。また、いまだにコーナリング性能や動力伝達システムがどうのこうのと、カタログ数値をPRしている会社があるようですが、購入者の多数を占めるサンデードライバーや街で買い物をする主婦にとってそんなものは関係ありません。

さらには、一挙に電気自動車への切り替えを行わずに、ハイブリッドという、暫定的なクルマを前面に押し出していますが、このやり方の背後に、自社や業界の維持・雇用といった、提供者側の都合がまったくないとは言えないのではないでしょうか?

パソコンメーカーも同様です。つい3~4年前までは「家庭の医学」とか「毛筆ソフト」など、使いもしないソフトをゴテゴテと詰め込み、20数万円にも価格を吊り上げたラップトップをユーザーに押しつけていたのです。しかも、突如、5万円台のネットブックが登場すると、一斉に追随して、挙句の果てに「利益が出なくなった」などと文句を言っている始末です。

 このような指摘をすると、「60~80年代の日本企業は素晴らしかった。国際的にも勝利してきた」という主張をされる人がいます。しかし、戦後、基本部分のアイデアは欧米からすべてタダでもらったうえに、「作れば売れる時代」がぴったりと重なっていたのは紛れもない事実です。轍(わだち)を辿っていき、改善を続けるだけで商売ができた時代が確かにあったのです。

それに、日本企業の場合、「国際化した」といっても、生産工場や販売網などの物理的な拠点が拡大したに過ぎません。

先ごろ、ハイブリッド車のトラブルに関する情報公開のやり方で問題となった自動車会社の例をひくまでもなく、彼の地の文化や風習をうやまい、現地に溶け込み、組織カルチャが真に国際化している企業、「国籍に関係なく、誰でも社長までのイスが等距離にある企業」は今でもほとんどありません。

 生活者にとっての価値を謙虚に見つめることなく業界内の競争に腐心し、提供者側の論理で事業を行ってきた日本企業は、ITの進展による地球市場の一体化や、アジアの新興国企業の勃興を受けて、戦後65年経って、はじめて「真の競争」にさらされることになるでしょう。

それは、これまでのような目先の競争ではなく、価値創造者としての実力と世界への貢献の姿勢をもって、自らの存在意義を賭けて戦っていかねばならない、ということだと思います。

大前さんのひとことを、いま、改めて深く考えなければなりません。



※参照:
  『競争は戦略の目的ではない』 大前研一、ハーバード・ビジネス・レビュー、2007年

  『日本がものづくりで韓国に負ける理由』吉川良三、グロービス講演録、2010年8月5日

  『マッキンゼー 戦略の進化』マッキンゼー、2003年(上記大前論文を収録)




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2010年09月18日

◆戦略は号令だけでは実現しない。組織を一体化せよ【三枝匡】



                    ※上から下までが一体となった推進体制を同時に作るのが、
                      実務における戦略や改革の必須成功条件である...



◆気になるひとこと◆

---「頑張れ」の号令だけでは戦略は実体化しない。「武器」や「道具」を作り、組織の各レベルをつながなければならない---

                              ~三枝 匡 『V字回復の経営~2年で会社を変えられますか』



◆コメント◆

 かつて、ボストン・コンサルティング・グループの経営コンサルタント、事業再生プロフェッショナルとして名をはせた、現ミスミ会長の三枝匡(さえぐさただし)氏の言葉です。

戦略の具現化を生業とする私自身の経験に照らし合わせてみても、これは必須事項であると断言できます。

この類の戦略の失敗は、派手さに欠けるため、あまり表面化しません。しかし、実は、新戦略や組織改革の実現に失敗して破たんに至った会社をよく調べてみると、やはり上層部が、単に戦略を発布するにとどまり、「あとは、各部門・部署で“自主的に”で推進しなさい」といった姿勢に終始した結果、尻すぼみになって失敗に至ってしまったケースが少なくないのです。

 このような丸投げの姿勢は、大きく2つの問題を抱えてしまいます。

まず、モニタリングが徹底されなくなります。何故ならば、「今までやったことのない取り組み」に対して、改革前の(経験値や記憶に依存した)習慣やシステムを通して活動の進捗や成果をウォッチングすることになってしまう。

ゆえに、モニタリングの質や頻度、改善点に対する指導力が次第に弱くなり、最後は、なあなあになってしまうのです。


次に、「戦略の進化」がなされないという問題が出てきます。現代のタービュラントな経営環境下においては、「戦略は変化・進化するもの」という前提で、常に戦略に修正をかけ、戦略自体のイノベーションをはかりながらダイナミックに推進していかなければなりません。

そのためには、トップから戦略本部、ミドル、現場の末端まで、各層がそれぞれの役割を的確に遂行しているか、適切な結果は得られているかを測定するための、新しい戦略思想に基づいて最適化された、統一的な情報共有のしくみや評価システムが不可欠です。

たとえば、第一線で働く営業スタッフなどにも、新しい戦略思想が細部にまで反映された最新鋭のツール(新しい営業活動モデル、顧客診断ツール、顧客経済メリットの算定シート、再設計された営業日報・訪問管理表など)を付与し、あわせて徹底したトレーニングを行う、といったところまでこだわらなければなりません。


 経営学や戦略論においては、当初戦略の策定手法や分析フレームワークなどに関心が集まりがちです。しかし実務の世界においては、むしろシンプルかつ的を射た戦略を策定したうえで、ミドルから現場の日々の活動までをしっかりと管理し、いかに戦略を進化させながら(事業活動を高度化させながら)前進できるかが勝負の分かれ目となるのです。


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2010年09月13日

◆多くの戦略プランニングは「戦略プログラミング」である

 
 


  ※トム・ピーターズが「最高の思想家」と評したH.ミンツバーグ教授。机上の空理空論を徹底して嫌うことでも知られる。大前研一氏や名和高司氏(いずれも元マッキンゼー・ジャパンの責任者)など、実務家の著作に引用されることも少なくない。





◆気になるひとこと◆


---組織を成功に導く戦略は、やはりビジョンであって、けっして計画ではない。これまで実施されてきた戦略プランニングは、実は「戦略プログラミング」と呼ぶべきものである。すなわち、既存の戦略やビジョンを具体的な言葉で表現し、詳細をつめることにすぎないのだ---

                                        ~ヘンリー・ミンツバーグ『H.ミンツバーグ経営論』


◆コメント◆

 反骨の経営学者といわれる、カナダ・マギル大学のヘンリー・ミンツバーグ教授の言葉です。

今まで、多くの人にとって「戦略作り」と考えられてきた作業、すなわち、経営資源や予算を割り振ったり、会計数値や各種の分析数値をつくる(それらを詰め込んだドキュメントを作成する)作業は、実は戦略を作っているのではなく、「プログラミング(=作業)」にすぎない、ということを指摘されています。


 多くの企業は、「戦略計画書」「中期経営計画書」「経営(会計)分析報告書」などといわれるものを(コンサルタントや会計の専門家などの指導を受けながら)多大な時間を割いて作成しています。

もちろん、会計数字をいじったり、計画を作成したりすることの効能が否定されるものではありません。計画書の作り方や会計に関する知識は、組織の内部に必ず持っておくべきです(※1)。

しかし、それらは、決して経営者や事業責任者の目的とはなり得ず、また中心的な仕事でないのも事実です。なぜなら、計画や会計分析は、顧客や市場にとってはどうでもよいことだからであり、“提供する側の活動を最小限のコストで行うための手段”に過ぎないからです。

さらに言ってしまえば、いくら計画づくりの手法や決算書の読み方を学んだとしても、それ自体が、企業の強さや付加価値を生み出すことはありません。これらは、どこまでいっても「作業(プログラミング)」であり、最小限の労力にとどめておくべきものであり、少なくとも日々の事業活動の主要課題にすべきものではないと思います(※2)。

(計画力や会計力を磨いた結果、市場シェアのトップに躍り出た、などという企業は聞いたことありませんよね)


 ミンツバーグ教授やドラッカー氏も強調している通り、経営者や事業マネージャーが「もうこれ以上は思いつかない、出てこない」というくらいにまで必死に考えるべきは、新しい顧客の創造や既存顧客の新たなニーズ開拓の方法であり、それらを継続的に達成していくための戦い方や体制なのです。

すなわち、経営者や事業責任者の最大の責務あるいはミッションは、「真の戦略プランニング」に優先的に時間を割き、知力の限界まで考えを尽くすことなのです。

そして、それらのアイデアが、顧客や市場をほんとうに理解したものであれば、多くの場合、QCD(品質、コスト、物流費など)が最適化され、会計数値(コスト構成や利益率など)のバランスも取れたものとなってきます。

(数字をにらみながら、あれやこれやと戦略の妥当性や製品・サービス体系のプランなどを練っていると、いつの間にか、ある程度の会計のセンスも身についているというわけです)


 憂慮すべきは、真のプランニングが欠落したまま計画力や会計力を磨き続けることです。こうした姿勢は、本末転倒どころか、前述した、提供側の論理に偏重した経営(目先のコストや効率を優先してしまう経営・・・「はやぶさ」など科学技術の事業仕分けがよい例?)を助長してしまう危険性が高くなることは、頭に入れておきたいものです。



***注釈*************************************************************

※1:基本的な会計力が心配、という人は、まず以下の3種類の書籍をそろえて、しっかりと熟読してください。

 ・財務諸表の構造と読み方を詳しく解説したもの
 ・管理会計と財務(経営)分析手法が体系立てて解説されているもの
 ・詳細かつ平易な解説付きの会計・経理用語集

これらを読んだあとは実践です。毎回、常に「会計情報から何を読み取りたいか」「もしかしたら●●は△△となっているのではないか?」といった目的や仮説を、できれば3~5つくらい持つようにします。
(人、モノ、製品・サービス、市場セグメント、組織機能等々、事業構成要素を組み合わせながら、主語と述語で表現するようにします)

 例:「○○市場セグメントの販売効率や付加価値構造の傾向はどうなっているか?」
   「○○事業部の生産性、付加価値創出力は持続的なものになっているか?」
   「ポートフォリオ上で製品が持つ役割(スター、金のなる木など)、は、自分が感じた通りとなっているか?」
   「商品・サービスの売上、粗利率、限界利益率と顧客満足度の相関はどうなっているか?」 
   「同業他社と比較して、わが社の従業員の販売効率や生産性はどうか?」

そして、3冊の本と首っ引きになりながら、会計・数値情報からできるだけ具体的な解釈(できるだけ5W3Hで表現します)を引き出す訓練を繰り返します。これを10ヶ月くらい続ければ、実戦で通用する会計力が身につくでしょう。



※2:中小企業の経営コンサルタントで、ランチェスター戦略の専門家でもある竹田陽一氏は、(中小企業の場合ですが)財務対策に費やす労力は事業活動の7%、会計作業は1%にとどめておくべきと言っています。

パーセンテージの妥当性はともかく、「(一部のトップクラスの企業を除いた)多くの企業は、まず自分たちの戦い方を確立するためにもっとも時間を費やすべき」という竹田氏の主張は、市場リーダーではない多くの企業にとって覚えておくべきことでしょう。

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2010年08月18日

◆ドラッカーを知識として身につけるだけでは意味はない/柳井正




※2010年5月、早大でのドラッカー学会総会における柳井さん(接写!)。
とても気配りをされる方で、私がユニクロ1号店の話に触れたとき、当時お店があった広島市袋町の様子を懐かしそうに語っておられました。いつまでもお元気でご活躍頂きたい、ドラッカー学会が誇る経営者のお一人です。



              ●            ●            ●



◆気になるひとこと◆

-----ドラッカーの著書の場合、読んで知識として身についただけでは、大して意味はないんです。「ドラッカーはこんなふうに言っているけど、自分にとってそれはどうなのか?」と問いかけながら読み、自分の頭で考え、行動することが大切なんです------

                                         ~柳井 正『わがドラッカー流経営論』より



◆コメント◆

 わがドラッカー学会の会員でもあるファーストリテイリング会長兼社長の柳井正さんの言葉です。

5月の学会に来られた時にもおっしゃられていましたが、書籍から学ぶ際は、それを読むこと自体が目的ではなく、自分にとっての意味合いを考え、そこから得られた結論や仮説をもとに「実践」してみることが大切であると強調されています。

考えてみると、いまほどビジネス書籍が氾濫し、世界中の知識が入手しやすくなった時代はありません。アマゾンのサイトに行けば、かつては奥義とされてきた戦略コンサルティング・ファームの手法・技法や、高名な研究者が著した最先端の理論書などが、瞬時に手に入る時代になりました。

なのに、日本の企業や組織人の能力が全体的に向上した、という話はあまり聞きません。むしろ、欧米やアジア企業との比較でみると、向上どころか、競争力も個人の能力もジリジリと下げてきている感すらあります。

この理由を考えるとき、柳井さんの言葉が示唆している重要なことがあります。



※ドラッカー流経営論をいきいきと楽しそうに語る柳井さん。


それは、(読書などによって)知識を得ることは、あくまでも手段であり、成功に至るプロセスや問題解決の入口に立ったに過ぎないということです。そして、むしろ(知識を土台として)実践力を磨くことに早く取り掛かりなさい、ということです。

これは、言い換えると、知識や理論を自分なりに消化し、実践し、成果を目指さなければ、ビジネスパーソンにとって、読書の意味はないということです。

しかしながら、知識として得た新しいやり方を実践するということは、既存のやり方への挑戦を意味します。そこには、必ずと言っていいほど、保守的な人たちとの軋轢や小さくないリスク、結果へのプレッシャーと責任が発生します。

つまり、知識を得ただけで満足している場合ではなく、必死の思いで実践力を磨いていかねばならないわけです。ただ、残念ながら、多くの人間が、決してその領域に踏み込もうとはしない。

実際に、ツブれた会社の改革や再生の仕事をやっていると、やたらと経営理論を振り回す人間や評論家タイプの人間が、組織の上から下まで、何人もいる企業に出くわします。これは、彼らの知識が、何ら事業に生かされなかったということの証左であり、、たくさんの本を読んでも、行動を変えることや、それを生かすことができない人が大半であることを示しているのだと思います。


 こうした状況に陥らないためにも、改めて「理論実践経営の第一人者」である柳井さんの言葉をしっかりと噛みしめ、「知識や理論は実践することによって、はじめて意味あるものになる」ということを銘記して、日々の業務に邁進しなければならないと思うのです。



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2010年07月16日

◆戦略は、美しい文章で記述できるまでに昇華せよ【大前研一】

             


             ※複雑な分析手法はあまり必要ない。むしろ、これらの基本的な分析ステップを
              洞察力をもってしっかりと消化し、説得性のある文脈を導き出すことのほうが重要...



◆気になるひとこと◆

---製品・市場戦略は、最終的には美しい一つの文章として記述できるところまで昇華しなくては、本当の味わいが出てこない---

                                                   ~大前研一 『続・企業参謀』


◆コメント◆

 経営コンサルタントの大前研一氏は、まず前提として、「製品・市場戦略(Product Market Srtategy=PMS)」にすべての経営的問題の根源があり、解決の緒を見つけることができるとしています。

さらにその内容は、豊かな想像力をベースに、さまざまな角度からの洞察や分析を行い、確信を得たうえで、ひとつの美しい流れを持った文章で表現されたものでなければならない、と主張されています。

それは、以下の順序で展開されるべきといいます。



 (1)世の中の動きと構成に対し、自社がどのように対処してきたか
      ↓
 (2)今後この趨勢が続けばどのようになるか
      ↓  
 (3)これを抜本的に変革させるにはどのような打ち手があるか
      ↓
 (4)自社の得手・不得手、強み・弱み、緊急度などを勘案し、どの打ち手が現状に最も適しているか
      ↓
 (5)たとえばその打ち手が失敗したとき、どのように対処したらよいか
      ↓
 (6)実施後の期待成果はどのようなものか
      ↓
 (7)誰が、いつ、どのようなプログラムを実行すれば全体として所期の成果があがるか



 私の経験でも、形や経験則にとらわれることなく、豊かな想像力やよどみのない洞察力、柔軟な仮説構築力を働かせて導き出した戦略は、結果的に、ひとつのわかりやすく美しい(または力強い)文脈を持っていることが多いと思います。

考えてみれば、戦略は、企業という“生き物”が市場に働きかける際の一貫した立ち居振る舞いを規定するものです。そこに、ある種の美しさや力強さ、頼もしさやバランスの良さなどが感じられなければ、それはムリやムダ、あるいは軋みを持ったものとなり、ギクシャクするのは道理でしょう。


 さらに氏は続けます。「戦略の立案というのは、生活態度の表明であり、平素の思考を論理的に記述したものにすぎない」と。

これも同感です。たしかに巷間言われているように、戦略立案のための技術(分析スキルや論理思考)はきわめて重要であり、しっかりとマスターする必要があります。しかし、ある一時期だけ、分析用に頭を切り替えるだけでは十分に使いこなせないと私も思います。


 これらの大前氏の言葉は、日頃から、論理的な思考や豊かなマインドを持って仕事に取り組むことの大切さを指摘していると思います。

そして、戦略は全社のものであるがゆえ、組織としても、ものごとを深く考える社員を育てるカルチャや仕組みを持つことで、はじめて戦略立案の技術が生き、美しく説得性を持った戦略もまた導き出される、ということを示唆されているのではないでしょうか。

当時、マッキンゼー社のいちコンサルタントとして、戦略立案の最前線で活躍していた氏の言葉には、今も変わらぬ説得力が感じられます。



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2010年07月08日

◆私の事業再生はリストラなどの手法とは無縁である【三枝 匡】




◆気になるひとこと◆



「私の事業再生は、リストラや事業売却のような、いわゆる切った張ったの手法とは無縁である」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・三枝 匡 『日本の経営を創る』・・・・・・・・・・・




◆コメント◆

 ターンアラウンド・スペシャリストという肩書を日本で最初に名乗ったとされる三枝匡(さえぐさただし:現ミスミ会長)氏のひとことです。

このことばからも伺えるように、事業再生人あるいはターンアラウンド・スペシャリストというと、リストラや資産売却など、主に財務や資産の整理といった面から会社を建て直す人の呼称だと思っている人が意外に多いようです。

しかし、改めて彼の表現を借りて説明すると、

●「真の事業再生人は、いわば社長や経営陣と全く同じ立場でビジョンや戦略、目標を立て、従業員とともに責任とリスクを共有しながらそれらの実現を目指す」

といった姿勢で行うのが本来のあるべき姿だと思います。


 ちなみに、ここ何年かで耳にするようになったことですが、「ターンアラウンド・マネージャー(TAM)養成コース」のような講習会を受講しただけの事業経営の経験がない人が、企業再生スペシャリストと称して中小企業などの再建にあたることがあるようです。

(さすがに中堅・大手企業などではほとんど見当たりませんけどね)

ですが、あまり芳しくない成果を見るにつけ、そうしたレベルで経営の責任者を引き受けてしまう考え方の根底にあるものは何なのか、と考えてしまいます。


 でも他の人の事ばかりを言えません。かつて私も、大手企業再生機関や米国系ファンドなどと組んで仕事を行っていたとき、当時世間を騒がせていた、いわゆるハゲタカ・ファンドの一派と一緒にされ、一部のマスコミや団体などから「リストラ屋」とか「米国資本の手先」などといわれのない中傷を受けたこともありました。

この原因の一つとして、三枝氏や(僭越ながら)私のように、事業会社の経営経験があり、なおかつ戦略コンサルティング・ファームなどにおける多くのプロジェクト経験をあわせ持つプロ経営者の実態が、一般にイメージされるものとはかなり違っているからだと思うのです。

実は、こうした事業経営畑出身の専門家が再生案件を手がける場合、たとえば、成功の基準として、EVA、粗利、営業利益といった複数の利益ベースで、バランスよく継続的に黒字を出せるビジネス構造にまでもっていくことを目指します。

その過程で、たとえばマーケティング・プランの成功や技術開発が活発に行われるようになったか、常にQCDが考慮される体質へと転換しているか、社員の意識改革が成され生産性が向上したか等々、(リストラや事業売却よりも)前向きな成果を多面的に測定しながら再生を図っていくほうにはるかに力を注ぐのです。

別言すると、事業の強さを取り戻させるためのきわめて泥臭い戦いに、真正面から挑んでいくことが仕事であるといえるでしょう。


 TAMなどの呼び方はどうあれ、事業経営のプロフェッショナルを標榜するのであれば、当該企業の経営陣や従業員と、価値観や方向性はもちろん、できるだけ「責任やリスクも共有」すべきでしょう。そのうえで「お客さまと社会への貢献」という目標に向かって、がっちりとスクラムを組んで歩む、といった姿勢を持つことが本来のあるべき姿だと思うのですがいかがでしょう?



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2010年06月23日

◆戦略的SCRAPで事業を再活性化せよ【ベイン&カンパニー】




        ※戦略的リストラSCRAPでは、間引き、移植、接ぎ木の3つの視点から事業診断を行う.



---戦略的リストラSCRAPの3つの視点から事業を診断し、成長に転じるための攻めの事業再構築を実行せよ---

                                            ~ベイン&カンパニー『攻めのリストラ革命』



◆コメント◆


 戦略コンサルティングファームのベイン&カンパニー社が1994年に提唱したこのSCRAP(Strategic Corporate Re-Alignment Program)という手法は、かつて90年代後半に事業再構築(いわゆるリストラ)の名のもとに、やみくもに合理化を行ってきた企業に対し、警鐘を鳴らすと同時に本来のリ・ストラクチャリングの意味である「事業再構築」へと、その視点を引き戻すことを狙ったものでした。

樹木の育成方法になぞらえたSCRAPの3つの視点は、ベイン社ならではのユニークな表現となっています。さらに、事業を再構築したり、進化・高度化したりするための鉄則である、「シュリンク to グロー](成長のための縮小・絞り込み)という重要な視点が、色濃くしっかりと反映されたプログラムとなっています。

加えて、それら3つの視点を支える分析手法群は、視点を多角的に深く取って事業の診断ができるもの(経営学や会計学などで提唱される単純な切り口とは異なります)で構成されており、これも単なる合理化ではない、本来の意味での事業再構築をめざした体系となっています。


 では、SCRAPの基本骨格を構成する3つの視点である、間引き(THIN OUT)、移植(RE-PLANT)、接ぎ木(GARAFT)を順に概観していきましょう。

  ※分析例は、最近の事例を勘案して、私が独自に加筆したものもあります。



■間引き(THIN OUT)■

★骨子:
 数多くの事業の苗の中から重点事業や育成事業を選定し、撤退・縮小する事業、合理化する組織機能などへの対策を施し、重点事業・育成事業に経営資源を集中させる。

★分析・診断の手法および視点:
 (1)事業別・機能別資源マップ分析
 (2)事業ポテンシャル分析
 (3)製品別・機能別企業余裕度の診断
 (4)重点事業・育成事業の戦略的・戦術的改善余地の検討
   
★分析の視点例:
従来の会計システムやコスト分析の枠組みにとどまらない視野を持つことがポイントです。例えば、以下のような方法が有効でしょう。

 ・会計上の科目だけではなく、バリューチェーンや構成機能でコストや経営資源、投下資本などをくくり直して測定してみる
 ・原価を、発生費用だけではなく、設計も含めた「プロセス」で丹念に追跡し、どこで大きなコストの飛躍が起きているかを特定する
 ・物流費用を自社内・自社周辺だけではなく、トータル・サプライチェーンで見直し、根本的な物流リエンジニアリングを図る




■移植(RE-PLANT)■

★骨子:
 従来の事業を重点事業・育成事業として強化していくために、これまでの経営土壌や枠 組みから別の事業基盤に移植することで事業を活性化させ、より大きく飛躍させる。

★分析・診断の手法および視点:
 (5)別会社化、機能分化(切り出し)
 (6)本社への取り込み、事業間の統合
 (7)事業の売却、M&A 

★分析の視点例:
 これは上記の表現のままですね。ポイントは、製品・サービスやそれを担当する人員だけではなく、そこに付随する人事評価制度や行動規範、カルチャ、スタイルなどもワンセットで移植するか、その製品・サービスにあったものをゼロから再構築できる環境を整えることでしょう。
  


■接ぎ木(つぎ木)(GARAFT)■

★骨子:
 従来の構造では収益の限界や成長の壁に直面しているようなコア事業・育成事業の基本構造の一部を抜本的に変革しブレークスルーを与えることで、新たな成長の余地を見出していく。

★分析・診断の手法および視点:
 (8)製品コンセプト・ブレークスルー
 (9)技術ブレークスルー
 (10)生産ブレークスルー
 (11)購買ブレークスルー
 (12)マーケティング・販売ブレークスルー
 (13)カスタマーサービス・ブレークスルー

★分析の視点例:
 以下の手段などが有効でしょう。思考を柔軟にして、顧客の視点から取り組む姿勢が求められます。

 ・製品のポジション(位置付け)を変える
 ・新しい用途を掘り起こす(最近では、ディマンド・イノベーションなどといわれていますね)
 ・他の技術・機能を底上げするような新たな技術要素を追加する
 ・販売活動にコンサルティング機能を付加し、提供価値の体系化・高度化を図る
 ・(今まで行ってきた分析をもとに)ゼロベースから購買基準を再設計し、購買体系を再構築する




 繰り返しますが、このSCRAPが考案された1994年当時、やみくもなコストダウンにより体力を消耗する企業が続出しました。このような状況への警鐘として、単なるコストダウンや事業縮小策ではなく、無理なく事業体系を絞り込み、そこに経営資源を集中させ、ふたたび攻勢に転じる考え方が示されたのです。

この考え方は、いま、ふたたび重要になってきていると思います(もちろんITや国際化など、現代に即した視点の追加や分析手法のアレンジは必要です)

すなわち、タービュラントな経営環境のもと、資本・事業の集約度を高め、さらにはポテンシャルを発掘し継続的に事業の進化を図っていかねばならない現代において、この手法が持つ「可能性を多角的に深く探りながら事業の再構築をめざす」というコンセプトは、十分に応用が可能なものだと思います。

(実際に弊社では、ベイン社の見識に学びながらもSCRAPを大幅に改良し、事業進化の可能性を発掘するためのプログラムとしても用いて、着実な成果を上げています)



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2010年06月14日

◆日本企業は5つのフェーズでの真の国際化を目指せ【大前研一】




              ※これからの企業は、5つの発展段階を最も効率的かつ効果的に乗り切れる可能性がある...




◆気になるひとこと◆

---日本企業にとっての国際化、多国籍化が困難な理由は、体質に国際的普遍性がなく、世界的に特異な均質集団だからである。国際化に近道はなく、的確なフェーズを踏むことによってのみ、成功が着実なものとなる---

                                     ~大前研一 『日本企業生き残り戦略』



◆コメント◆

 大前研一氏が、マッキンゼー日本支社長時代の1987年に提唱した「真の企業国際化のための5つのフェーズ」の説明で語られている言葉です。

大前氏によると、日本企業の真の国際化に近道はなく、次の5つのステップを踏み、しかも常に現在から数ステップ先のための人材や経営システムの開発に先行投資することによってのみ、成功を収めることができる、ということです。

その5つのフェーズを概観してみましょう。


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◆国際化の5つのフェーズ(要約)◆       ※あわせて上図をご参照ください
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■第1フェーズ: 現地の提携代理店を通しての輸出・販売

 国内で事業が充実してくると、商社などを使い、現地で輸入代理店(ディストリビューター)を使って、自社製品を輸出し始める。

   ↓ ↓ ↓

■第2フェーズ: 自前の販売店の展開による市場への接近

 代理店では把握できない顧客ニーズや市場動向を得るために、直轄販売店を自前で設立する。権限委譲を的確に行わない場合、現地の顧客や競合よりも、日本の本社の方をむいて仕事をするので注意が必要。

   ↓ ↓ ↓

■第3フェーズ: 現地生産の開始
  ※多くの日本企業が国際化を達成したとカン違いするフェーズ(当時)

 現地で生産を開始する。日本企業の多くはこのフェーズを国際化と考えている。しかし、現地生産で失敗したり、為替が円安になれば再び国内に引き揚げればよい、といった姿勢で生産を続ける企業も多いため、真の国際化が果たされないままのケースが多い。

   ↓ ↓ ↓

■第4フェーズ: 研究開発、財務、人事などワンセット・ビジネス機能を現地に移植

 生産、販売だけではなく、財務、研究開発、設計、人事、購買などの機能をワンセットで現地に持っていく。こうしてようやく現地の主要企業と戦うための体制が整う。日本企業でこの段階に入っているところはない(当時)が、IBM、コカコーラなどはここに進んでいる。

   ↓ ↓ ↓

■第5フェーズ: 全体最適機能と部分最適機能の調和・棲み分けによる真のグローバル化

 グローバル・インテグレーションの段階。世界企業はあくまで戦いの場である現地に創意工夫が生まれるような組織運営形態をとることが望ましい。その結果生まれてくる機能や努力の重複を避け、かつ同じ屋号のもとで事業展開するための価値観、連帯感といったものを共有する方向で再統合すべき。

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 注意点として、大前氏も強調されていますが、第2~4フェーズを飛ばして、最初から第5フェーズを達成することはあり得ないということです。

なぜなら、各フェーズを端折って諸機能の作り込みや調整を最初からやり過ぎると、本社への依存体質が強まり、均質化がむしろ進んでしまいます。つまり、真の国際化に必要となる、多様性を糧とする懐の深い企業カルチャや、紆余曲折の経験を経営資源(ナレッジ)として生かす企業システムなどが育たなくなってしまうからなのです。

ゆえに、大前氏は、着実にこれらのフェーズを、焦らず、しかし効率的に消化していく必要性を強調されているのです。


 前述したように、このモデルは20年以上も前のものです。しかし、いまだに、現地と業務提携したり、採用した現地人に日本の教育を受けさせたり、役職者の外国人比率を上げたりすることが「国際化」とカン違いをしている企業が多いのが現状です。

重要な権限を事実上、日本人が独占し、トラブル対応が遅れたことで批判を受けた自動車会社の例が示唆するように、いまだに彼の地の文化や価値観を心からうやまい、心身ともにその国に溶け込んでいる日本企業はほとんどないといっていいでしょう。

一方で、P&G、ジョンソン&ジョンソン、IBM、コカ・コーラ、アップル、アマゾンなどの企業は、日本企業に比較して、人事政策や商品展開など一歩も二歩も現地化が進んでいる感があるのは否めません。

(アップルやアマゾンには、最初から「国境」という概念がないように見えますよね♪)


 日本企業が国際化で後れをとる大きな原因の一つに、最初から「分母」に世界をすえているのか、国内市場を置いているのかといったことがあります。

その昔、海外と情報やマインドを共有する手段を持たなかった多くの日本企業は、いったん国内向けの体質を作り込んでから、改めて国際的な多様性へと組織体質を転換していかねばならなかったため、最初から10年くらいのハンディキャップがあったのです。

しかし今は違います。ヨハネスブルグで「いまランチをしている人」の“つぶやき”をフォローし、iPADを駆使して、地球の裏側にいる仲間と同時に仕事を進めることができる時代です。

こうした時代を生きる現代の企業(もちろん中小、ベンチャー企業も含みますよ)は、最先端のITと大前モデルとを融和させたうえで、最初からアジアやアフリカなどの市場を「分母」に置いたビジネスモデルをめざしてほしいと思います。



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2010年06月09日

◆ストラテジック・ラグ分析~KFSを体系で捉えよ【小林 裕】



          ※ストラテジック・ラグ分析表のイメージ(実際のものは、さらに詳細なフォーマットになります)



◆気になるひとこと◆


---『ストラテジック・ラグ分析』・・・戦略においては、真のKFSを押さえ、資源を徹底投入することはもちろんである。しかし、実務の世界では、それ以外のサブKFS群に対しても、体系的に把握し、備えておく必要がある---

                                                 ~小林 裕 『ストラテジック・ラグ』


◆解説◆

  きょうは、あまり知られていない手法を紹介しましょう。JMAC(日本能率協会コンサルティング)から米国A.T.カーニー社の日本代表を経て、現在は独立して活躍されている小林裕(こばやしゆたか)氏が提唱される「ストラテジック・ラグ」という考え方です。

 一般的に、戦略立案の際、KFS(=Key Factors for Success/成功の鍵)を徹底的に押さえなければならないということはよく知られています。

しかし、その具体的な分析方法については、意外にも統一的な考え方はなく、多くの場合、KFSと思われるひとつの領域を特定し、定量チェックを加えながらその領域への接近方法をあれこれと考える、といったレベルで終わっているケースが多いようです。

それに対し、小林氏は、実戦的な戦略立案においては、単に1つのKFSを特定して終わるのではダメで、真のKFSとサブKFS群を体系的に分解し、強いものと弱いものを見きわめ、科学的に資源の配分を決めるべき、としています(上図を参照)。

さらに、直接競合するなど相互作用がある企業を選び、ストラテジック・ラグ分析を通じて、KFSの体系のうち、強いものと弱いものを相対的に把握しておくことが重要だとも言っています。


 ストラテジック・ラグ分析の意味は、サッカーやボクシングなどの競技に置き換えて考えるとわかりやすいでしょう。

これらのスポーツは、プレーや技の連続(コンビネーション)で戦うわけです。その戦い方の本質は、最大の強み(真のKFS)、すなわちトップ選手のゴールや右ストレートなどのフィニッシュブローを生かすために、そこに至るまでのキーとなるプレーや技を最適に組み合わせる、というものです。

ストラテジック・ラグ分析の本質も同様です。すなわち、「真のKFS」のポテンシャルを最大限に引き出すために、それを支えるサブKFS群についても的確に把握し、最適に組み合わせて戦いなさい、というものなのです。

一見して目新しく感じられる考え方ですが、各種の諸条件を整えたうえで戦略を推進しなければならない実務者にとっては、むしろピッタリくるものではないでしょうか?


 ちなみにこの理論は1986年に開発されたものですが、なぜいま「ストラテジック・ラグ分析」なのかについても触れておきたいと思います。

「戦略を具現化すること」を生業とする多くの経営者や(事業再生などの)専門家にとって、それを達成するためには、業界のキーファクターや自社の強み・弱みを網羅的に把握しながら事業をドライブしていく必要があります。

なぜなら、昨今の経営環境においては、イノベーションのサイクルがきわめて短くなってきたことや、市場ニーズの変化が非常に激しくなってきたこともあって、「真のKFS」と思われていたものが短期間で移動または変化するからです。

こうした“有事”に対応する手法としても、「KFSとサブKFS群を体系的に把握しておく」というストラテジック・ラグ分析の考え方は、きわめて有効となるのです。



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2010年06月03日

◆戦略は、仮説であり、PDCAの道具にすぎない 【冨山和彦】



       ※戦略を組織の統一的な道具として使いこなすことが重要...(写真:IGPI社長の冨山和彦氏)



◆気になるひとこと◆


---戦略は仮説であり、PDCAの「道具」にすぎない。フィードバックサイクルを回して、(仮説としての戦略に対する)冷静で客観的な敗因分析ができる企業のみが勝者となる---

                                          ~冨山和彦 『会社は頭から腐る』



◆コメント◆

 コーポレイト・ディレクション社代表~産業再生機構のCOOを経て、現在、株式会社 経営共創基盤(※)の社長をつとめる冨山和彦氏の言葉です。
 
 戦略を構成する要素には、変化するものとしないものがあります。市場や競争環境など日々刻々と変わる要素については、無理に計画化するよりは、むしろ仮説と割り切り、PDCAのフィードバックループを組み込んで、たえず修正しながら戦いを進めていくことのほうが有利であるというのが冨山氏の主張です。

逆に、あまり変わらない要素として、事業の経済構造があります。これを的確にみきわめて、事業モデルをしっかりと作り込むことの重要性も説いています。

この領域は、競合や市場の分析に比較して地味ではありますが、その重要性は私も強く感じるところです。

たとえば、ノートパソコンのように、すでにコモディティ化してしまったような製品では、いくら追加機能を加えたところで、あるいは(多大な労力を投入して)販路を拡大したところで、粗利や営業利益ベースで大きな増幅が望めるとは思えませんよね。

むしろ、大きくビジネスモデルを転換して、たとえば、クラウドへの移行コンサルティングと、機能を最小限に抑えた安価なPC・通信環境とをワンセットで法人へ提供するサービスの方が、付加価値が高くなるかも知れません。


 また、戦略の実行フェーズで重要なのが、「客観的に敗因分析ができるか」という部分です。これは「言うは易し、行うは難し」で、たんに喧々諤々と議論をすれば良いというものではありません。

戦略を修正しながら進むということは、持続的な客観性を持った組織姿勢が求められます。ゆえに、適切な分析スキルはもちろんのこと、失敗を糧として次に活かそうとする組織カルチャがあるか、それを支える教育・評価制度が備わっているかなど、さまざまな要素がワンセットで問われてくるのです。

 冨山氏や私が再建を手掛けてきた会社に共通するのが、かつて産業再生機構の支援を受けたカネボウやダイエーのような「チャレンジ精神の欠如」や「見たい事実しか見ない」という体質です。

このような企業体質を持っている限り、たとえ一流のコンサルティングファームに金ピカの戦略を作ってもらったとしても、その実現は望めないでしょう。

戦略は、もちろん重要です。しかし、あくまでも「道具」であり、目的とは成り得ません。むしろ、日々の活動において、着実にPDCAサイクルを回しながら戦略を正しい方向へと進化させ、事業活動そのものに生かしていくことができる、強い意志をもった企業にのみ、成功への道が開けてくるのです。


※同社とジェイ・ティー・マネジメント田中事務所は協力関係にあります。


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2010年05月20日

◆変化の抵抗の底にあるものは無知である【ドラッカー】



               ※むやみに恐れるのではなく、構造や特性をしっかりと見きわめることが重要...



◆気になるひとこと◆

---変化の抵抗の底にあるものは無知である。未知への不安である。しかし、変化は機会と見なすべきものである。変化を機会としてとらえたとき、初めて不安は消える---

                                   ~P.F.ドラッカー『マネジメント-課題 責任 実践』



◆コメント◆

 変化をチャンスとしてとらえようとすると、まず、その内容や構造を分析し、正しく理解しなければなりません。さらには、積極的にその可能性を探り、自らがリードするつもりで対峙することが求められます。

これは一見、大変そうに思えます。

しかし、たとえば、クライアントのプロジェクトメンバーなどと、ある市場セグメントやテクノロジー領域における変化の中身を詳しく知ろうとして、その可能性や市場性、経済性などを調べ始めたとします。

すると、最初の不安はどこかへ行ってしまい、その変化をさらに深く掘り下げることに、いつの間にか夢中になってしまっていた、というケースも少なくありません。

人間は本来、誰もが、わからないものに対して「理解したい」という欲求があり、さらには、(可能性が見えるのであれば)チャンスに積極的に取り組んでいきたいという願望を持っているように思えてなりません。

ドラッカーは、そうしたマインドを上手く活用し、変化をものにせよ、と言っているのかもしれません。

また、決して運だけでチャンスが巡ってくるのではないと思います。適切な考え方とアプローチをとるのであれば、それをものにできる可能性は、誰に対しても高まってくるのではないでしょうか。



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